日々の音色とことば:

移転しました。新URLはhttp://shiba710.hateblo.jp/です。ここは更新されませんがアーカイブを置いておきます
kokuchi.jpg

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移転しました。

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ブログ、移転しました。

fc2で7年くらい更新してきて、それなりに愛着もあったんですが、心機一転、場所を移そうと思います。
移転先は、独自ドメインをとることも含めていろいろ考えたんですが、はてなブログにしました。
以下がURLです。

http://shiba710.hateblo.jp/


ここはもう更新されませんが、しばらくは消さずにアーカイブを置いておきます。
noteもやってます。

https://note.mu/shiba710


というわけで、今後ともよろしくお願いします。

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「note」で毎日1曲×100日紹介しようという試みをはじめました。

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noteはじめました

noteという、新しいウェブサービスが始まりました。

note ――つくる、つながる、とどける。
https://note.mu/


誘われて、使ってみて、だいたい一週間くらい経ちました。そこで考えたこと、やろうと思ったことを書きます。
まずはツイッターと共通の「shiba710」でアカウントとりました。

noteはじめました2

というわけで「https://note.mu/shiba710」が自分のトップページになります。

最初は、ブログの代わりになるかなあ、と思ってたんです。ここで言うのもなんだけど、べつにfc2というウェブサービスに何の思い入れもないし、スマホで見るとアダルト広告が入ってくるし、そろそろ移転したいなーとずっと思っていて。

だったら「note」に拠点を移そうか、と。でも、これは声を大にして言いたいことだけど、noteは

ブログの代わりとして使うのには使いづらい!


という大きな特徴があったわけです。少なくとも自分のやろうとしていることにとっては、そう。理由はいくつかあります。
1.「テキスト」の中にYouTube動画を埋め込めない
2.HTMLタグを指定できない
3.記事のカテゴリを指定できない
4.記事の公開時期を指定できない(過去の投稿とか予約投稿とかができない)

など。

最初、いくつか過去記事を移行して掲載してみて「うわあ、いろいろ不便だなあ」と思ったわけです。少なくとも、自分の書いた文章やコンテンツをストックして置いておく場所として使うためには、3や4は必須の機能なわけで。さらにはページデザインもカスタマイズできないし。

「トーク」と「テキスト」が並ぶのも、なんか違和感があるんですよ。「イメージ」「テキスト」「サウンド」「ムービー」とジャンルがわかれているのも、なんか変な感じがする。僕が今までブログで書いてきたものって、文章があって、ビジュアルがあって、YouTubeとかsoundcloudへのリンクがたくさん貼ってあって、amazonのリンクもあって、そういうウェブ上ならではの渾然一体とした「コンテンツ」なわけです。しかもそれを有料で売ろうと思ったことなんて一度もないわけで。だから、過去のブログ記事を転載してみても、面白みがぜんぜんない。

ただ、「note」というサービスの「いいなあ」と思うところは、設計した人の顔が見えているところだと思うんです。cakesを作った、そして「もしドラ」や「評価経済社会」を作った加藤貞顕さんという人が「こういうウェブサービスがあればいいなあ」と考えたものが形になっているわけで。そこに何らかの信頼感とかワクワク感があるからこそ、始まったばかりの場所に沢山の人たちが集まっているんだろうな、と。

だから、どうせやるなら、ブログを移行するよりも、この「note」に適したことをやってみよう、と。サービスに使いにくさを感じながらストレス抱えてやってみるより、「あ、これなら気軽にやれるし、面白いかも」と思えることをやってみよう、と思ったわけです。というか、昨日風呂に入りながらそういうことを思いついた。

それが、

「毎日1曲YouTubeで楽曲を紹介しよう」

ということでした。

まず、僕が直観的に感じ取ったのは、「note」という場所は情報の「ストック」ではなく「フロー」が見えるよう設計されているんだろうな、ということ。それがトップページのデザインや、記事のタイムスタンプやカテゴリをいじれないことに現れている。発信したことはどんどん流れていく。だから、「よいしょ」とじっくり作ったコンテンツよりも、ちょっとずつ、毎日継続してやっていくことに適している。

そして、もう一つ僕が感じ取ったのは「ムービー」というところの不思議さ。触ってみるとわかるんですけど、ここ、おかしいんですよ。「イメージ」は画像をアップロード、「サウンド」は音声ファイルをアップロードするような仕組みになっている。つまり、自分で撮った写真や作った曲や録音したトークを公開して、それを課金コンテンツとして提供しようということになっている。うん。それはわかる。

なのに、ムービーのところでは

「YoutubeまたはvimeoのURLを貼り付けてください」

となっているわけですよ。

いやいや、それ、変でしょう? 少なくとも、クリエイターの表現の場として「note」を捉えるなら、「自分で作った動画をアップロード」じゃないと、他の機能と統一がとれないことになる。「URLを貼り付ける」というのは、他人のアップロードした動画を手軽に紹介するための機能だと思うわけです。

で、そこまで考えて、はたと気付いた。「あ、これやればいいじゃん」と。

基本的に僕がやっている仕事の中心は、J-POPや洋楽やアイドルやボーカロイドや、とにかく世の中にたくさんある音楽について書いたり語ったりするようなもので。音楽ライターというのは、毎月、雑誌にディスクレヴューの原稿を書いているわけですよ。でも、今の世の中、リスナーにとってはむしろYouTubeで新しい音楽に出会うことが当たり前になっているわけで。ならば、そのプラットフォームを上手く使って新譜を紹介していくのが僕のやることだなあ、という考えに至ったわけなのです。

これなら自分が普段からやってることの延長で、気軽に、継続的にアウトプットできるということもあるしね。まあ、言ってみればYouTubeリンクつきのツイートをnoteに移行するというくらいの手軽さでやれるというか。

てなわけで、ボチボチ始めていきます。ルールは3つ。

・基本的にはお気に入りの新曲を紹介。
・文字数は100〜200文字くらい。
・1日1曲(を目標)。

​飽きたり、つらくなったり、noteというサービスが寂れたりしたら、すぐ辞めます。これ上手く行きそうだったら、知り合いのライターとか巻き込んで「グランジの名曲100選」とかやってもいいかもね。

というわけで、こちらもぜひフォローよろしくお願いします。

https://note.mu/shiba710


単行本『初音ミクはなぜ世界を変えたのか』発売

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9784778313968.jpg

初音ミクはなぜ世界を変えたのか?
(2014/04/03)
柴那典

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去年から時間をかけて書いてきたり、いろんなところで喋ってきましたが、ようやく初の単著が発売になります。
初音ミクの誕生を三度目の「サマー・オブ・ラブ」に見立て、ボーカロイドの歴史とロックやテクノやヒップホップ、いわゆる20世紀のポピュラー音楽の歴史をつなげて論考する一冊です。

発売は4月3日。これから、本の中身の話を少しずつしていこうと思っています。まず、目次はこちら。

序章 僕らはサード・サマー・オブ・ラブの時代を生きていた

 ・新しい「幕開け」がそこにあった
 ・「誰が音楽を殺したのか?」の犯人探しが行われていた二〇〇七年
 ・新しい「遊び場」が生まれた年
 ・二十年おきに訪れる「サマー・オブ・ラブ」

◆第一部◆

第一章 初音ミクが生まれるまで

 ・二〇年前からずっと繋がっている
 ・それは三行広告から始まった
 ・MIDIとDTM文化の登場
 ・初音ミクに受け継がれた名機「DX7」
 ・ベッドルーム・ミュージシャンたちの静かな楽園

第二章 ヒッピーたちの見果てぬ夢

 ・六〇年代に生まれた音楽家の「遊び場」
 ・「帰って来たヨッパライ」が日本のロックを変えた
 ・「サマー・オブ・ラブ」とは何だったのか
 ・ヒッピーカルチャーとコンピュータ文化を繋いだ男
 ・セカンド・サマー・オブ・ラブとレイヴの時代

第三章 デイジー・ベルからボーカロイドへ

 ・歌声だけが取り残されていた
 ・最初に歌った言葉「あさ」
 ・『二〇〇一年宇宙の旅』、死にゆくコンピュータの歌
 ・モーグ博士と「パプペポ親父」

第四章 初音ミク誕生前夜

 ・無風だった最初のボーカロイド
 ・声優・藤田咲を起用した理由
 ・アンダーグラウンドシーンから開発者の道へ
 ・初音ミク誕生の裏側にあった、竹村延和の一言
 ・「同人音楽」という土壌
 ・ニコニコ動画とMAD文化

◆第二部◆

第五章 「現象」は何故生まれたか

 ・二〇〇七年の「運命的なタイミング」
 ・仕掛け人は誰もいなかった
 ・「このビッグバンが、次の時代へのリファレンスになる」

第六章 電子の歌姫に「自我」が芽生えたとき

 ・キャラクターからクリエイターへ
 ・「メルト」が変えた風景
 ・ルーツにあった「強度」
 ・「歌ってみた」とエレックレコード

第七章 拡大する「遊び」が音楽産業を変えた

 ・ヒットチャートを侵食する新たな波
 ・カラオケと著作権の新しい関係
 ・三次元に舞い降りた歌姫

第八章 インターネットアンセムの誕生

 ・「世の中が動くかもしれない」
 ・初音ミクがウェブの「日本代表」に
 ・「ヘイル・トゥ・インターネット」
 ・二〇一二年の「ホテル・カリフォルニア」

第九章 浮世絵化するJポップとボーカロイド

 ・「千本桜」は何故ヒットしたのか
 ・「カゲロウプロジェクト」が受け継いだ一〇代の魂
 ・Jポップの「物語音楽」化
 ・「高密度ポップ」の誕生
 ・ボーカロイド「高速化」の理由

第一〇章 初音ミクと「死」の境界線

 ・揺らぐ「いる」と「いない」の感覚
 ・創造をもって死を乗り越える、ということ
 ・パリ・シャトレ座に響いた「終わり」のアリア

終章 未来へのリファレンス

 ・最初は消えそうなくらい小さな炎だった
 ・初音ミクと「情報革命」
 ・消耗品になってほしくなかった
 ・ブームは去っても、カルチャーは死なない
 ・新しい音楽文化の可能性
 ・音楽の未来、クリエイティブの未来


第56回 #グラミー賞 受賞者を勝手に予想してみた

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画像はWOWOWのサイトより
(※画像はWOWOWのサイトより)

今回は「世界最高峰の音楽賞」グラミー賞の話です。もうシンプルに、競馬の予想よろしく本命と対抗挙げていこう、という話。洋楽不況とかいろいろ言われる昨今だけど、基本的にこういう「お祭りごと」は楽しんだもん勝ちだなあ、と。

最後に告知で書いてるんだけど、グラミー賞関連のトーク番組に呼んでもらったのもあるし、ちょっと本気で予想しとこう、と。

第56回グラミー賞の授賞式の開催は1月27日の午前9時(日本時間)。終わったら「◯勝◯敗」つけようと思います。

(追記:主要4部門中3部門「本命」、1部門「対抗」で当てた! 3.5勝。予想屋としてはいい成績あげれたんじゃないかな)

■年間最優秀レコード


◎Get Lucky/ダフト・パンク&ファレル・ウィリアムス
・Radioactive/イマジン・ドラゴンズ
◯Royals/ロード
・ロックド・アウト・オブ・ヘヴン/ブルーノ・マーズ
・ブラード・ラインズ~今夜はヘイ・ヘイ・ヘイ♪/ロビン・シック feat. T.I. & ファレル

→結果:◎Get Lucky/ダフト・パンク&ファレル・ウィリアムス



「わりと保守」。ここ10年くらいのグラミー賞の主要部門ノミネートと受賞者を見ていくと浮かび上がってくるのがこの傾向なのです。セールスも重要な要素だけど、それだけで選ばれるわけじゃなくて。なんというか、ポップミュージックの歴史にちゃんと連なる“格式”みたいなものが評価される傾向があるというか。アデル、エイミー・ワインハウス、テイラー・スウィフトが選ばれ、レディ・ガガやカーリー・レイ・ジェプセンは受賞してない、という。そう見ていくと、今年は特にダンス、ロック、ヒップホップ、などなど多彩なノミネートが揃ったけど、まずロビン・シックはないかな。セールスはあるけど曲のテイストが軽い。というわけで、本命はダフト・パンク。スティービー・ワンダーと共演するというのも超楽しみ。そして対抗には今年の最大の注目株、17歳の天才歌姫ロードを。


■年間最優秀アルバム


◎ザ・ブレスド・アンレスト/サラ・バレリス
◯ランダム・アクセス・メモリーズ/ダフト・パンク
・グッド・キッド、マッド・シティー/ケンドリック・ラマー
・The Heist/マックルモア&ライアン・ルイス
・レッド/テイラー・スウィフト

→結果:◯ランダム・アクセス・メモリーズ/ダフト・パンク



今年のもう一つの注目株は「古着ソング」で一躍ブレイクしたマックルモア&ライアン・ルイスなんだけど、主要部門に関していえばヒップホップには辛口な傾向があるので、ケンドリック・ラマーと共に予想からは外しました。世間的にはダークホースなんだけど、ここでの本命はサラ・バレリス。「こんなハズじゃなかったラヴ・ソング」の人ですね。こういう「実力派ソングライター」が強いのがグラミー賞の傾向でもあって。「ブレイヴ」はfun.のギタリスト、ジャック・アントノフとの共作ということもあり、去年からの流れも含めて予想。対抗はやっぱりダフト・パンクです。2冠行ったらすごいな。

■年間最優秀楽曲候補


・ジャスト・ギヴ・ミー・ア・リーズン/P!nk ft. Nate Ruess
◯ロックド・アウト・オブ・ヘヴン/ブルーノ・マーズ
・ロアー ~最強ガール宣言!/ケイティ・ペリー
◎Royals/ロード
・Same Love/マックルモア&ライアン・ルイス Featuring Mary Lambert



「わりと保守」なグラミー賞の受賞傾向を考えると、肉食系女子なケイティー・ペリーや同性愛ソングのマックルモアは選ばれないじゃないかなと思います。ここでの本命はやはりロード。過去のノミネートでは長らく有力候補ながらも外してきたブルーノ・マーズが対抗。

→結果:◎Royals/ロード

■年間最優秀新人候補


◯ジェイムス・ブレイク
・ケンドリック・ラマー
◎マックルモア&ライアン・ルイス
・ケイシー・マスグレイヴス
・エド・シーラン

→結果:◎マックルモア&ライアン・ルイス




マックルモア&ライアン・ルイスはここで受賞するんじゃないかとの予想です。YouTube再生回数4億回超。すごいよねえ。対抗馬はもはや新人とは言いがたいけどジェイムス・ブレイク。考えてみればエド・シーランもケンドリック・ラマーもロードよりキャリアあるミュージシャンなわけで、「最優秀新人」の選出基準が謎な感じです。

そして、その他の注目ノミネートから受賞を予想。こちらは能書き省略します。発表されたら当たり外れつけるよ。

(追記:こちらは1勝4敗でした…)

■最優秀ポップ・ソロ・パフォーマンス



・ブレイブ/サラ・バレリス
・君がいたあの頃に(When I Was Your Man)/ブルーノ・マーズ
・Royals/ロード
・ロアー ~最強ガール宣言!/ケイティ・ペリー
◎ミラーズ/ジャスティン・ティンバーレイク


→結果:・Royals/ロード

■最優秀ポップ・デュオ/グループ・パフォーマンス


・Get Lucky/ダフト・パンク&ファレル・ウィリアムス
・ジャスト・ギヴ・ミー・ア・リーズン/P!nk ft. Nate Ruess
・ステイ/リアーナ feat. ミッキー・エコー
◎ブラード・ラインズ~今夜はヘイ・ヘイ・ヘイ♪/ロビン・シック feat. T.I. & ファレル
・スーツ&タイ/ジャスティン・ティンバーレイク&ジェイ・Z

→結果:・Get Lucky/ダフト・パンク&ファレル・ウィリアムス



■最優秀ポップ・ヴォーカル・アルバム


・パラダイス/ラナ・デル・レイ
・ピュア・ヒロイン/ロード
◎アンオーソドックス・ジュークボックス/ブルーノ・マーズ
・ブラード・ラインズ/ロビン・シック
・20/20 エクスペリエンス/ジャスティン・ティンバーレイク

→結果:◎アンオーソドックス・ジュークボックス/ブルーノ・マーズ


■最優秀ラップ・アルバム


・ナッシング・ワズ・ザ・セイム/ドレイク
・マグナ・カルタ・ホーリー・グレイル/ジェイ・Z
◎グッド・キッド、マッド・シティー/ケンドリック・ラマー
・The Heist/マックルモア&ライアン・ルイス
・イーザス/カニエ・ウェスト

→結果:・The Heist/マックルモア&ライアン・ルイス



■最優秀ロック・アルバム


・13/ブラック・サバス
◎ザ・ネクスト・デイ/デヴィッド・ボウイ
・メカニカル・ブル/キングス・オブ・レオン
・セレブレーション・デイ/レッド・ツェッペリン
・...Like Clockwork/クィーンズ・オブ・ザ・ストーン・エイジ
・サイケデリック・ピル/ニール・ヤング with クレイジー・ホース

→結果:・セレブレーション・デイ/レッド・ツェッペリン




そして最後に告知。
27日(月)の22時から「WOWOWぷらすと」でグラミー賞授賞式のソーシャルビューイング番組に出ます〜。こちらも是非!
http://www.wowow.co.jp/plast/


2010年代のJ-POPのテンポが「高速化」してるという話

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亀田音楽専門学校

(画像は番組サイトより)
http://www4.nhk.or.jp/kameon/


■BPM170超えが「当たり前」のロックバンドの登場



前回の「ヨナ抜き音階」の話に引き続き、NHK Eテレ「亀田音楽専門学校」を元にした話です。ほんとね、何度も繰り返しますけど、この番組は面白いです。J-POPのいろんな要素を、きちんとした音楽理論をもとに、ちゃんとわかりやすく分析した番組。毎回「そうそう」とか「なるほどなあ」と思いながら観てます。

でもね、今回は「異論あり」なんですよ。

先週に放送された第5回は「七変化のテンポ学」。つまり、テンポを表す単位「BPM」(Beats Per Minute)の基本から、テンポが速いか遅いかで歌の印象が大きく変わってくるという話。詳しくはこちらを。

KREVA×亀田誠治がテンポの秘訣を解説 曲調を一瞬で変える“BPMマジック”とは?(1/2) - Real Sound|リアルサウンド
http://realsound.jp/2013/11/krevabpm.html


それはもちろんその通り。拍の刻み方を半分にしたり倍にしたりすることでノリかたを変えることができるという「BPMマジック」についての、KREVAと亀田誠治校長の解説も「まさに!」だと思います。でも、番組の中で亀田誠治校長が語った以下の話が「異議あり」で――。

「BPM90以下はバラードゾーン、BPM120以上はパワーゾーン。バラードゾーンではしっとりとかキュンキュンとか、悲しみとかいうイメージ。パワーゾーンでは元気とかワクワクといったイメージがある」



NHKのEテレという幅広い年齢層をターゲットにした番組だから、というせいもあると思うんだけど、僕の肌感覚では、このテンポ感の分析は、ちょっと古いんです。あくまで80年代〜00年代のJ-POPなイメージ。2010年代に入ってのJ-POP、特にロックフェスの現場とかアイドルの現場を見てると、テンポに対する感覚が明らかに変化してきている。端的に言うと、どんどん高速化してきているんです。結果、BPM120~130代ですら「ゆったり」「しっとり」に思えるような感覚がオーディエンスの間に育ってきている。

そのことの象徴として強く感じたのが、先週リリースされたばかりのKANA-BOONのデビューアルバム『DOPPEL』。オリコンチャートも2位を記録し、いよいよ本格的なブレイクを果たしたロックバンド。そのデビュー作に収録されている楽曲のほとんどが、BPM170オーバーのダンスロックなのです。


KANA-BOON 『1.2. step to you』

たとえば、この曲がまさにBPM170。番組でも触れていたけれど、このテンポで四つ打ちを繰り出すと、縦ノリの盛り上がりが生まれる。一体感を感じることができる。ちなみに僕はこないだKANA-BOONの4人にインタヴューしたんだけど、現在20代前半の彼らにとっては、このテンポ感が自然なものみたい。

「曲のテンポ感は普通に決まってきましたね。作ってる時に、特に速くしようとか遅くしようとかの話もなくて」(谷口)
「あと、別に速いとか感じないんで(笑)」(古賀)
「ちょうどこれくらいの(ドン、ドン、ドン、ドン、と机を叩く)テンポでやると、自分らが気持ちいいんですよ。自分らが気持ちよかったらお客さんも気持ちいいんかなっていうのはあります」(小泉)


インタヴュー | KANA-BOON
http://www.nexus-web.net/interview/kanaboon/


DOPPELDOPPEL
(2013/10/30)
KANA-BOON

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一方、やはりこの秋にリリースされたばかりのフジファブリックのEP『FAB STEP』が「ダンスロック」をテーマにした作品で、そのリード曲「フラッシュダンス」のBPMが130くらい。亀田誠治校長いわくの「パワーゾーン」なんだけど、聴いてみると、こんな感じ。


フジファブリック 『フラッシュダンス (short version)』

曲調のせいもあるけど、KANA-BOONが「元気」とか「ワクワク」なのに対して、どっちかと言えば「しっとり」「キュンキュン」なんですよ。

もちろん、フジファブリックの3人もテンポに関してはすごく意識的に作っている。フェスやライヴの場で受ける曲のテンポがどんどん高速化している現状を感じながら、そこにきちんとアジャストしながら、それでもそれだけじゃないダンスロックの方法論を生み出そうとして、それが「フラッシュダンス」や「バタアシParty Night」(こちらはBPM140)の曲調になっている。以下は雑誌『MARQUEE』で僕が担当したインタヴュー取材からの引用。

「(“フラッシュダンス”のテンポ感について)他の人のライヴを見ていたりすると、『オイ!オイ!』言えるほうが踊れるっていう風潮があって。そういうところじゃなくて、だけど身体が動くというラインに行きたいなと思って。そういうことは考えたりしました」(金澤)
「(“バタアシParty Night ”のテンポ感について)BPM140って難しいんですよ。ディスコビートでもないし、パンクでもないし、ハウスでもテクノでもない、何だろうこれ?みたいなところですね。そういうのが好きなんですよね。テンポ感もそうで」




フジファブリック 『バタアシParty Night (short version)』

「最近、フェスやイベントに行ったら、お客さんの中にニューエイジが出てきてるわけですよ。10代や20代に『なんですかそれ?』って言いたくなるような動きをするような人もいて。手をつないで輪になって、真ん中に人がいて踊り狂ってるみたいな光景も見ますし。面白いことになってると思うんです。そういうところに、フジファブリックがこういう曲を出したらどう動いてくれるかなっていうのが楽しみでもあるんです」(山内)



彼らはこう語る。ネオンカラーの照明を背景に3人で踊るMVのアイディアも含め、すごく興味深いアプローチだと思う。


FAB STEP(初回生産限定盤)(DVD付)FAB STEP(初回生産限定盤)(DVD付)
(2013/10/02)
フジファブリック

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MARQUEE Vol.99 特集:CAPSULE チームしゃちほこ でんぱ組.inc ヒMARQUEE Vol.99 特集:CAPSULE チームしゃちほこ でんぱ組.inc ヒ
(2013/10)
不明

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■もはやBPM200が「珍しくない」アイドルソングの世界



そして、ここからはアイドルソングの話。実はロックバンドだけじゃなくて、女性アイドルグループの現場でも同じことが起こっている。そして、こちらは演奏する必要性がないぶん、さらに状況は進んでいる。以下は『別冊カドカワDIRECT』で、ライター南波一海さんにアイドルソングについて語ってもらった取材からの引用。

――アイドルは可愛い女の子が歌って踊っていれば成立する、だから音楽のスタイルはヒップホップでもメタルでもR&Bやディスコでもなんでも成立するという状況になっているわけですよね。
「ジャンルに関しては本当に何でもアリになっている。もちろん「どんな曲がウケるのか」という磁場のようなものはあります。わかりやすい傾向が、テンポが速くなる。ライブの現場で盛り上がらないといけないので、どんどんテンポが速くなるんです。今は身体性のある音楽がやっぱり求められがちですからね」
――テンポの遅い曲は少なくなっている。
「そうですね。例えば、今のモーニング娘。がたまにライブで昔の曲をやるんですけど、“LOVEマシーン”とか、BPM130くらいの曲を聴くと遅いと感じますからね。私立恵比寿中学が“ザ・ティッシュ〜とまらない青春”という曲を2011年に出したときには、“超高速”と言われていたんですが、今聴くとそんなに速いと感じない。あの曲のBPMが200くらいなんですが、今やあれくらいの曲が珍しくなくなってきている」



別冊カドカワ DIRECT 001 表紙:島崎遥香 (カドカワムック 506)別冊カドカワ DIRECT 001 表紙:島崎遥香 (カドカワムック 506)
(2013/10/02)
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南波一海さんが「これくらいのBPMは今や珍しくない」というエビ中「ザ・ティッシュ〜とまらない青春」が、これ。


私立恵比寿中学「ザ・ティッシュ〜とまらない青春」

うん。確かにこれくらいのテンポ感の曲、今のアイドルシーンに、わりとあると思います。たとえば、チームしゃちほこの「そこそこプレミアム」。これはBPM190くらい。そう考えるとエビ中はある意味パイオニアだったのかも。


チームしゃちほこ「そこそこプレミアム」

でも、よくよく考えてBPM200がどれくらいの感覚かというと、基本的にはポップソングというよりもはやスラッシュメタルの分野に属するテンポ感なんですよ。たとえばX JAPANの「Stab Me In The Back」が、だいたいBPM200くらい。それを倍テンで刻んでる。この曲に関してはすごいエピソードもある。



HIDEはこの曲を「YOSHIKI殺し」と呼んでいた。激しいドラムプレイのため、レコーディング直後の2日間、YOSHIKIは椎間板ヘルニアを背負うことになる。

wikipediaより)


00年代には、9mm Parabellum BalletがBPM200前後のナンバーを繰り出してきている。たとえば「Living Dying Message」はBPM190。



X JAPANのYOSHIKIにしても9mm Parabellum Balletのかみじょうちひろにしても、それから凛として時雨のピエール中野にしても、だいたいこの辺のテンポでプレイするドラマーは「異能」なんです。

ちなみに、2007年にリリースされた筋肉少女帯のアルバム『新人』に収録された「ヘドバン発電所」のBPMが、やはり200くらい。これを叩いてるドラマー長谷川浩二さんのレコーディング動画を見れば、その「異能」っぷりがわかると思います。詳しくはリンク先で。(※ツイッター/はてなブックマークの情報提供から追記しました)
長谷川浩二さん/"筋肉少女帯"「ヘドバン発電所」の超高速メタルrec.動画 : DRUMMER JAPAN 
http://www.drummerjapan.com/modules/pickup/index.php?content_id=34


つまり、興奮の許容量マックス、一杯一杯のテンションなのがだいたいBPM200くらい。そのことを考えると、「BPM200前後がもはや珍しくない」というここ最近のアイドルソングがどれだけ異常な事態かわかってもらえると思います。

■アニソンとボーカロイドの「BPM250」



ロックバンドにしても、アイドルソングにしても、ここ数年、どんどんBPMが高速化する傾向がある。その背景にはライヴ重視のシーンの変化があり、そこで一体感を得るために「身体的な盛り上がり」が求められるという理由があった。それがここまでの話。じゃあ「身体的な盛り上がり」とは関係ないアニソンやインターネット・ミュージックの分野においてはどうか?というと、やっぱり高速化してるんです。たとえば、この曲。アニメ『けいおん!』のオープニングテーマ「GO! GO! MANIAC」。YouTubeになかったのでiTUNESの試聴リンクを。



これが、なんとBPM250(イントロのみBPM170)。放送当時さんざん繰り広げられたツッコミだけど、あのね、こんな曲を弾きこなしてる女子高生いたらホントに驚きですよ。YOSHIKIはBPM200で椎間板ヘルニアになったっつの!

(※追記 ――と書いていたら、はてなブックマーク経由でコメントが。13歳の女子中学生がこの曲のドラムを叩いてる、と。以下がその動画。これはすごい……)



そして、ボーカロイドのシーンでも、BPM250くらいの超高速なナンバーは次々と生まれている。たとえば以前の記事「浮世絵化するJ-POPとボーカロイド」でも紹介したこの曲。


トーマ(feat.GUMI)「ヤンキーボーイ・ヤンキーガール」

これがBPM250。そして、衝撃的だったのが、この曲。


ハチ(feat.GUMI)「ドーナツホール」

現在は本名で活動、先日シングルをリリースしたばかりの米津玄師が、2年9ヶ月ぶりにボーカロイド「GUMI」を使ってハチ名義で投稿した新曲「ドーナツホール」。

これもBPM250相当。確かに、手数の多い「浮世絵的」な進化を遂げてきた2012年以来のボーカロイドシーンの傾向ともリンクしている(というか、彼自身がそのパイオニアの一人だ)。でも、そこにハチ=米津玄師としての強烈な記名性と叙情性がある。特に曲後半でツービートになって畳み掛けるリズムと、そこで歌われる歌詞がすごく胸に迫る。

この胸に空いた穴が今 あなたを確かめるただ一つの証明
それでも僕は虚しくて
心が千切れそうなんだ どうしようもないまま

簡単な感情ばっか数えていたら
あなたがくれた体温まで忘れてしまった
バイバイもう永遠に会えないね
最後に思い出したその小さな言葉
静かに呼吸を合わせて目を見開いた 目を見開いた 目を見開いた
あなたの名前は



なんだか、後から振り返ったらこの曲がまた一つの分岐点になりそうな予感……。


■くるりは「BPM二桁」で我が道を行く



ちなみに、こういうここ最近の「高速化するBPM」の傾向を最初に気づいたのが、今年5月のロックフェス「METROCK」の時でした。そのフェスのトリをつとめたのが、くるり。その時にツイートしたのがこんなことでした。







このツイートは岸田くん本人にも拾われて、こないだも雑誌『MUSICA』の編集長・有泉さんのインタヴューでこんな話をしてました。

――サウンドもそうですけど、メロディ自体が雄大な――どっしりと穏やかながら、凄い広がりのある世界を描いていくメロディで。
「そういうの、割と俺らは多いですけどね。世の中的にはそういうのが流行ってないというだけの話で(笑)。ツイッターでライターの人が、フェスに行ったらみんなBPMが140から190の縦ノリで、BPMが100以下やったのが俺らときのこ帝国だけやったって書いてるの見て『ほぉ〜』と思ったけど。いざプレイヤーとしてギター弾いたり歌を歌ったりして思うのが、最近の個はみんな点に合わせるんですよ。グリッドに合わせるというか」
――縦ノリを生むキメを重視しますよね。
「うん。僕らはそれをやらないんですよ。もちろん合わせるところは合わせるけど、4小節でひとまとまりだったり、16小節でひとつの流れだったり、そういう大きな流れを意識して音楽をやってる。せやから、速くするとよさがなくなるんです」



MUSICA (ムジカ) 2013年 11月号 [雑誌]MUSICA (ムジカ) 2013年 11月号 [雑誌]
(2013/10/15)
不明

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くるりのメジャーデビュー曲「東京」はBPM75。そして、15周年を記念したニューシングル 「Remenber Me」は、BPMは72だ。



亀田音楽専門学校の分類では「バラード」ゾーンの、さらに遅めなところにあたる。こうして見てきた通り、J-POPのテンポが「高速化」した2013年、ロックバンドがBPM70代の曲をリリースすることなんて、なかなかないんですよ。でも、身体的な盛り上がりや一体感は少ないかもしれないけれど、亀田誠治校長がいう「曲のテンポが遅いと、一拍に込められる情報量が多くなる」ということを、歌もサウンドも徹底している。だからこそ描いている風景や感情の機微が色鮮やかに伝わってくる。

くるりやきのこ帝国(12月に出る1stEP『ロンググッドバイ』格好いいです!)をはじめ、そういう意識を持った作り手の曲も、注目していきたいと思ってます。


きのこ帝国 「夜が明けたら」(これは去年に出たデビューミニアルバム『渦になる』から)

とにかく。

少なくとも、J-POPとロックとアイドルとアニソンとボカロのシーンを広く見渡すと、2010年代になってBPMに関しての傾向は大きく状況は変わったのだ、というのが今回の結論。もちろん、一つの傾向が現れると、それに対してのアンチテーゼ的な切り口も登場するし、今なお、テンポに関しての感覚と傾向は変わり続けていると思います。

ほんと、面白いことになってると思うのですよ。


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