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今のテレビを捨ててニコ動だけに絞ってやってみようと思った。それでホントに言ったんですよ、吉本興業に。俺、テレビを捨てて年棒制でニコ動専属タレントになるの無理かな?って」
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まず、超パーティの司会をやってくれって言われて。『ニコ動のこと全くわかんないけど、いいですか?』って言ったら、理解してない人が伝えるのがいいと言われて。だから勉強も何もしないで行ったんです。で、本当にすごいと思ったんですよ。テレビにはないものがあった。もちろん特殊な人が集まってるけど、テレビよりもクオリティーがはるかに高い歌い手さんや踊り手さんやモノマネの人がいて、それを理解している空気があった。昔、みんながこぞってテレビを見ていた時のような熱気がニコニコ超会議の会場・幕張にあった。
吉本が公式チャンネルをやってるんですけど、それを観て面白くねぇ!と思ったんですよ(笑)。テレビとは違うことをしないと意味ないワケで。”ニコニコという素敵なメディアを使うなら、テレビとは違った新しいことをしなきゃダメじゃない?”って吉本のスタッフと話したんですよね。テレビと同じような事をするよりも、芸人がやりたいことを直接配信させたほうがいい。たとえ”公式チャンネルのほうがお金を貰えるよ”って言われても、公式はやりたくないんです。お金の問題じゃなくて、新しいことにチャレンジできる場所がニコニコ動画にあるから、自分の責任でそれをやりたい。だから、ちゃんと自分で525円払って、1人で生放送をやったんですよね。
ツイナビインタビュー Vol.16 田村淳僕がお金をもらったら「休日」とは言えなくなるし、僕自身はこの先も「淳の休日」ではギャラをもらうつもりはありません。ただ、スタッフさんとか機材の予算を補填してくれるスポンサーは徐々に増えてきました。休みの日に僕の頭の中にある企画を全部やらせてもらってるから、ありがたいと思っています。
テレビでは「とりあえずやってみよう」は不可能なんですよね……。絶対に、失敗が許されない場ですから。
ロンブー淳さんが休日にゆるーくやってるネット番組について本人インタビュー「これやっちゃだめなんじゃないか?」「ここまでやったらやり過ぎなんじゃないか?」って自主規制をかける感覚がものすごく嫌で。それとっぱらうにはどうしたらいいんだろうなぁと考えているうちに、“失敗できる場所”があったらいいんじゃないかというところに思い至ったんです。
川上「荒らすのは一部の人なんですよ。たとえば、ニコ動の中にも、超会議を潰そうってユーザーがいるんです。それはどういう人かというと、元々のネット住民…古くからのネットユーザーなんです。そういう人たちは、現実社会に居場所がなくてネットの中に自分たちの楽園を作ったような人たち。そこにリア充が押し寄せてきて自分たちの楽園を奪われたような気がして怒ってるんですよね」
淳「なるほど! だから俺、『帰れ、帰れ!』って言われるんだ(笑)」
川上「いわゆる荒らし的な人って、昔からネットにいるんだけど、そういう人って目立つ所に現れるんです。2ちゃんねるだって、罵詈雑言が激しいところが目立つけど、ほとんどの場所は社交的で温かい場所なんです。ニコ動もそうで、基本は温かいコミュニケーションがされている場所なんですよ。でも、荒らしをやりたい人は、目立ちたいから、その時に最も旬な場所に行く。で、今回はターゲットになりやすい淳さんが登場したことでそこに荒らしが集まる。つまり、逆に言うと、淳さんの存在のおかげで、ニコニコのほかの場所が綺麗になってるんですよ」
淳「ははは! なるほど。俺がキレることが、荒らしの人のやりがいになってるわけですね。『ニュースになったぜ!』って(笑)」
僕は、ニコ動をみんながお金を儲けられる場所にしようとしているんです。5年間かけてだんだんそうなってきましたね」
僕は、面白い人にお金をちゃんと払う文化を作りたいんです。少しでもいいからお金払う習慣をつけてもらわないと。そうしないと疲弊しちゃって、面白い人がずっと面白いことをやらなくなるんですよね」
「ニコニコだけで生活できる表現者の人をもっと増やす。そうすると、安定して文化が生まれる場所になる。それが今の僕の目標なんです」
久しぶりに会った現場の後輩に最近の現場の雰囲気について聞いたらこんな答えが返ってきた。
「いろいろ制約が多くて大変ですよ。番組作りに集中したいけど、やってはいけない決めごとが多くて、コンプライアンスとかに細心の注意を払っているだけで、疲れ果ててます。」
川上「(ガイドラインは)明確にすべきじゃないと思いますね。そうすると厳しくなる方向にしかいかないですから」
淳「そうなんです。テレビが衰退した一番の原因がそれですよね」
川上「ルールを作るのは反対ですね。昨日もマナーとかルールのガイドラインを作ろうとした社員を説教したんです。それはやっちゃダメです」
淳「心強いなあ! そういうことをトップの人が言い切れるのが、テレビにないニコ動の魅力なんだと思います。それは間違いない」
淳「(超パーティーで)すごく面白かったのが、ただムエタイの格好して暴れるだけの人に、すごく人気があって(笑)。歌うわけでも踊るわけでも、モノマネでもゲームの実況をするわけでもなくて。え? 君何する人なの?って。『なんでなの?』って聞いたら『僕もわかんないけど、やりたいことやってたら、みんなから求められるようになって』って言ってて」(中略)
――そういう人が食えるようになるのがニコニコの理想だと。
淳「そうなるといいですね。ムエタイの子、食えるようになってほしいもんなあ(笑)」
そういえば、お笑いの番組で出演者が「緊張してます」とコメントをするようになったのは、ここ数年になって見られるようになったことだと思う。とは言っても、僕が観た中では二つの番組でしかそういうコメントを聞いたことはない。『M-1グランプリ』と『人志松本のすべらない話』だ(『R-1グランプリ』もそうだったかな)。
これは、「お笑い」に「勝負」という概念が持ち込まれたという変化なのだろう。特に『M-1』が定着してからはその意味合いが大きい。賞金1000万円、翌年の確実なブレイク、それが一夜にして決するわけだ。年末年始のお笑い番組を観てると、その他の番組(『ドリームマッチ』など)との、「緊張」と「弛緩」の空気の落差はとても大きい。
でも、考えてみれば、かつてのお笑い番組で出演者が自分のことを「緊張してる」なんて言うことは、あり得なかった。ドリフやビートたけしの頃にさかのぼればコントには大抵決められた台本があったし、今でもバラエティ番組での若手芸人の役割は大概が「賑やかし」である。たとえ緊張してる芸人がいたとしても、それは「言ってもしょうがないこと」もしくは「言うべきでないこと」になる。それがOKになったというのは、僕は好ましい変化だと思っている。人気でも知名度でもなく、「誰が面白いのか」を可視化する装置として『M-1』は(今のところ、ちゃんと)機能している。芸人にとっての「甘え」は存在しない。だからこそ企画自体がこれだけの成功を収め注目を集めるようになったのだろう。
ただ、優勝で明日以降の生活が一変する若手芸人が『M-1』で緊張するのは、言ってしまえば当たり前のことだ。そう考えると、すでにキャリアも地位もある芸人たちが「緊張のせいで楽屋でえづいたりする」と語る『すべらない話』の番組としての特異性は図抜けている。ゴールデンに移ってからはだいぶ番組の雰囲気も変わったけれど、特に初期は「なごやかな真剣勝負」の空気が濃厚に漂っていた。誰が勝つかというより、チーム競技として「番組を成り立たせる」ための団体戦とでも言うべきか。司会者との掛け合いも、余計な演出や編集もなしで、ただそれぞれの持っている「話の面白さ」だけで場を持たせるわけだ。お笑い芸人としての地肩が一番問われるわけである。
僕が千原ジュニアとほっしゃん。に取材したのは一昨年の12月。フジテレビの会議室で、2006年の『すべらない話 年末拡大スペシャル』収録のおよそ3~4時間前。赴く前は相当こちらも身構えた。なにせ楽屋でのエピソードは沢山聞いている。事前に担当氏から「インタヴュー内容によっては機嫌が悪くなることもあるので」というような注意も受けた。結果、話はとても和やかに進んだけれど、やはり普段の取材とは全然違う、独特のムードがあった。後方にはおそらく番組のスタッフだろう人々が待機し、インタヴュー中の会話で「~(笑)。」というような流れになると、かなり大きな笑い声が響く。バラエティ番組でよく聞くようになった、あの「スタッフの笑い声」と同じやつだ。もちろん無理して笑ってるわけじゃないんだろうけど、きっと直前のインタヴューで「すべる」と本番のコンディションに影響するという意味合いも大きかったんだろう。そういう意味では、本人よりも周囲のほうがピリピリしていたムードがあったように思う。
ほっしゃん。は「この番組に出てるのは誇りだと思う」と語っていたし、千原ジュニアは「終わったら『よくぞ無事に生還した』みたいな感じ」と言っていたけれど、その言葉はあながち大袈裟なものではないと思う。観覧ゲストの豪華さなんてどうでもいいから、一度、生でその緊迫感を視聴者に見せてほしいな。
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今年の初取材で神保町のタイセイ吉本ビルへ。とはいっても芸人さんのインタヴューではなく、取締役の方への取材。
芸能界の最大手のプロダクションに成長し、携帯配信や出版や映画など数多くのコンテンツのチャンネルを持つ企業となった吉本興業。僕自身は横浜で生まれ育ったので関西の方とはまた印象が異なるとは思うが、今のような“お笑い=吉本”というイメージは、子供の頃にはなかった。存在を知り始めたのは「吉本新喜劇ギャグ100連発」あたりからだろうか。それが、今ではテレビをつけて吉本興業の芸人が映らない日はないほどの盛況ぶりである。
今、「お笑い」はテレビをはじめ、DVDや出版の部門でもキラーコンテンツとなり続けている。『ガキの使い』のDVDは累計100万部を突破したし、『ホームレス中学生』は200万部に届く勢いだ。なぜ「お笑い」がここまで求められていたのか。そして、そのコンテンツをどう活かしていけばいいのか。
話は「コンテンツってそもそも何だ」というところへ深まっていく。エンターテインメント業界の“勝ち組”の話はとても興味深かった。以下の本も購入予定。
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