日々の音色とことば:

移転しました。新URLはhttp://shiba710.hateblo.jp/です。ここは更新されませんがアーカイブを置いておきます
kokuchi.jpg

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『PAPYRUS』VOL.27

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『PAPYRUS』 VOL.27 2009年12月号に原稿を書きました。

papyrus (パピルス) 2009年 12月号 [雑誌]papyrus (パピルス) 2009年 12月号 [雑誌]
(2009/10/28)
不明

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特集「いしわたり淳治 “機能”する音と言葉のために」と、サイサリアサイサリスサイケのインタビューを担当。特にいしわたり淳治のインタビューは、ここ1~2年ずっと話を訊きたいと思ってた相手だったので、すごくやりがいのある仕事だった。

彼の基本的な考え方に「正直であること」というものがある。いしわたり淳治は作詞家/プロデューサーであるから、それはミューシャンの在り方として語られる。でも、この「正直であること」に関しては、音楽がどうこうにかかわらず、今の時代を生きるのに必要な考え方なのではないかと、僕は思っていた。そういう話をしようと思っていた。それにしっかりと応えてくれた。

「今の時代、音楽をただで手に入れている人も、ちゃんとお金を払って買う人もいる。その違いは、アーティスト性(を感じとっているかどうか)にあると思います。音楽にお金を払うということは、作品を手近に置くことによって、聴く人が力を貰えるということ。そこには、アーティストの“人間力”がある。だから、音楽だけでなく、思想や暮らし方も含めてどの瞬間をとってもブレがないアーティスト性が大事だと思う。アーティストが自分の新曲を紹介する『いい曲ができました。聴いて下さい』というコメントを、どこまで説得力を持って言えるかだと思うんです。本当にそう思っている人は、ちゃんとそれが伝わる。曲に対する思い入れや音楽に対する向き合い方、それがその一言に出てしまうから」


「正直であるということは、誰にでも必ずできることなんです。そしてそれが、人として一番格好いいこと。だから音楽をやっている人は音楽をやる瞬間にそうすればいいし、他の仕事の人もそう。
『とは言ってもさ……』とか『それは理想の話でしょう?』とか、みんな言いがちだと思うんです。でも、言う前に本気でやったことはあるのかと思う。正直者がバカを見ると言う人は沢山いるけれど、そこまで本当に正直に生きて、本当にバカを見るかどうかやったことある?って僕は思うんです。やってみないとわからない。じゃあ、やってみようという」



この発言には完全に同意。その場をとりつくろうためだけの言葉や、本心でもない形だけの言葉を発していくことは、後々において自分を苦しめる、と僕は思っている。「ここだけの話」だとか、裏表をうまく使い分ければ、いろんな場面で如才なく切り抜けていくこともできるだろうけれど、基本的には僕はあんまりそういうことはしたくない。「それが、人として一番格好いいこと」とは思っていなかったけれど、なんだかそう言われるとスカっとする気持ちがする。

特集は作詞家としての歌詞解説、プロデューサーとしての9mmやチャットモンチーやS.R.S.との関係、彼自身の書き下ろしコラムなども加えた14Pのボリューム。音楽誌ではなかなか出来ない、深い内容になってると思います(自画自賛)。


(関連記事)
浸水ノート / 柴那典 正直であるということ(いしわたり淳治)

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iLL@代官山UNIT

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アルバム『Force』をリリースしたiLLのワンマンライブに行ってきた。

Force(初回生産限定盤)(DVD付)Force(初回生産限定盤)(DVD付)
(2009/08/26)
iLL

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確か、最初にライブを観た数年前には、終始ステージ前面に幕を張ってそこに映像を投射するという演出だったのを覚えている。後ろで演奏している影が見えるのだけれど、それがナカコーであるかどうかはわからない。ずいぶん“閉じた”ステージだなあと思った記憶がある。その頃に比べると、「ポップに開けた」アルバムの内容に比例するように、ライヴもすごく開かれたものになっていた。

ステージにはピラミッドが絡み合うかのような複雑な造形で鉄柱が組まれ、その一本一本に電飾が光る。背後には映像。4人編成のストレートなロック。MCは(やはりというべきか)ほとんどなし。冒頭はシンプルな楽曲が続き、それが後半に至ってどんどんサイケデリックな忘我の瞬間へとスケールが大きくなっていく。

特に本編ラスト「Space Rock」の怒涛のドラムはとんでもない迫力だった。


avengers in sci-fi取材

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アルバム『jupiter jupiter』をリリースするavengers in sci-fiを取材。

このタイミングからメジャーデビューとなるだけに、すごくポップに抜けたアルバム。それでいてアルバムのテーマを訊くと「神話」とか「宇宙の終わり」とか、非常に壮大な言葉が出てくる。このあたりの両面性が、彼らの面白いところだと思う。


ヤジが可視化すればいいのに

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鳩山首相の所信方針演説で飛んだ一つのヤジが話題になっている。遊説に訪れた青森で、職を失って自殺した息子を持つ一人のおばあさんが、握手した手をなかなか離さなかったという話にむけて「そんなのどこにでもいるよ!」というヤジ。続けて笑い声も起こっている。

参議院議員・松浦大悟のtwitterによってネット上に広まった。

http://twitter.com/GOGOdai5/status/5168433583

鳩山首相の所信表明演説。青森に遊説に行った際、息子が職に就けず自殺した年配の女性が、絶望の中で握手した手を離さなかったという話をされたのですが、自民党の議員から「そんなものどこにでもいるよ!」というヤジ。あまりに酷い。10:05 PM Oct 25th movatwitter

GOGOdai5

参議院議員 松浦大悟

ただ、この短さではミスリードを誘うのも事実で、実際にどういう文脈で発言されたのか検証した記事もある。

「そんなのどこにでもいる」と叫んだ自民党議員は何を野次ったのか
http://d.hatena.ne.jp/dondoko9876/20091027/1256667906

よく聞くと、「そんなのどこにでもいる」は、鳩山さんの「私の手を離そうとしない、1人のおばあさんがいらっしゃいました」という発言のあとで上がっているようにとれます。
(中略)
「私の手を離そうとしない、1人のおばあさんがいらっしゃいました」
「そんなのどこにでもいる」
「わははは」
・・・という流れですから、もしも私の聞き取りが正しければ、普通の馬鹿なヤジです。

実際、記事のリンク先にある参議院本会議インターネット中継を聴いてみた。確かにそのタイミングで発言されている。文脈としても、自殺した息子ではなく握手した手を離さないおばあさんが「そんなのどこにでもいるよ」ということなのだろう。

ただ、どちらにしろこの手の「普通の馬鹿なヤジ」が、一体何の役に立っているんだろう?と思う。これは自民党がどうとか民主党がどうといった話じゃない。基本的には国会中継というのは、野次の飛ばし合いなわけである。どんな番組よりも一番子供に見せたくない、何故ならこんなことを「選ばれた大人たち」がやっていることを子供が学んだら学級崩壊に直結するから――という意見もどこかで見た。その通りだと思う。

たとえば、誰がどんなヤジをどんなタイミングで言ったかが可視化されるとしたら、どうだろう。まず国会中継は、議員全員の顔がアップで映るようなマルチアングルのものにする。別に全員分のカメラを用意しなくても可能だろう。それがネット上に誰でもアクセスできる形でオープンにされる。それをもとに、「誰が何を言ったか」を一覧できるようなサイトが用意される。それが、Yahoo!みんなの政治のようなウェブサービスからリンクされたりする。twitterがうまく活用できるのならそれでもいいけれど、「誰が言ったか」という一次ソースが公開されることが重要。

もちろん実際に導入するとしたらコストや荒らしの問題は沢山あるだろう。でも、このシステムが実現したならば、馬鹿なヤジを飛ばすというのは自殺行為になるはず。それでもヤジを飛ばすというのなら、それは必然的にクリティカルなもの、批評性というか意味のあるものになるはず。

もし「言論の自由が~」とか「プライバシーが~」とか言う議員がいたら、「国会は2ちゃんねるではないですよ」とだけ言えばいいと思う。


Windows Live Writerを使ってみた

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image

オフラインでのブログ更新用ツールとして、Windows Live Writerを導入してみた。

最近では対応も進んだおかげでだいぶなくなったけれど、このブログが間借りしてるFC2というサービスでは、書きかけの記事が消えてしまうということが何度もあった。更新ボタンを押したところでサーバーに繋がらなくなり、しょうがないので「戻る」ボタンを押すと、投稿用のまっさらな画面に戻る。結果として文章は残っていない。そういうときは心が折れそうになる。エディタに書いてコピー&ペーストするとか、もちろん方策はあるんだけれど、どうも歯痒い。そもそも入力用のテキストボックスが狭いので、長い文章になると全部が見渡せない。

そういうストレスがあってオフラインのブログ更新ツールを探していたのだけれど、Microsoftからフリーソフトとして公開されていたので導入してみることにした。ダウンロードは以下から。

ダウンロード - Windows Live
http://download.live.com/

カーソルの動き方など若干の齟齬はあれど、基本的にはWordと同じ感覚で記事の編集・作成ができる。画像やYouTube動画の埋め込みにも対応しているし、プラグインを追加すればAmazonのアフィリエイトへのリンクも可能。

Amazon Associate Japan
http://gallery.live.com/liveItemDetail.aspx?li=a12562c7-0f8f-4288-807d-4a04fc1187d8&pl=8&bt=9

FC2ブログへの設定方法は、ブログアカウントの設定画面にて

1.「他のブログサービス」を選択
2.ブログのURL、ユーザー名、パスワードを入力
3.使用するブログの種類には、「Movable Type」を選択
4.ブログのリモート投稿 URLには、「http://blog.fc2.com/xmlrpc.php」と設定。

以上の手順で可能。

なかなか使いやすい。さっそくこのエントリはWindows Live Writerで書いてみました。


twitterとの距離感

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そういえばこのブログでは書いていなかったけれど、9月からtwitterを始めている。

http://twitter.com/shiba710

振り返ってみると、今年の夏ごろから今にかけてが、twitterの第二次ブームという感じなんじゃないだろうか。広瀬香美さんの「ビバ☆ヒウィッヒヒー」から、鳩山首相と「www.さとなお.com(さなメモ)」のさとなお氏との会合がリアルタイムで実況されたり、テレビのワイドショーでも取り上げられたり。キャズムを超えかかっている印象だ。

ただ、実際に始めてみたものの、正直、まだツールをまだ使いこなせていない気がする。もちろん友人の近況や考えてることがわかって面白い、というのはある。やり取りのハードルも、メールとかブログのコメントに比べると低い。ただ、「140文字が世界を変える」とまでは、まだ思えていないかな。まだフォローしている数もフォローされている数も一ケタで、何言ってんだという気もするけれど。

mixiでもtwitter的なサービスとして「mixiボイス(旧mixiエコー)」というものを始めている。サービスの形態は似ているけれど、メディアとしての意味合いは大きく異なる。mixiボイスはクローズドでtwitterがオープンなのがその最大の違いなんだと思うが、自分個人としてはまだmixi的にしか使えていないということなのかな。

というわけで、そろそろブログとtwitterを連携しようと思います。まずはサイドバーに設置するところから。


iPhoneと自宅PCの音楽データをオンラインで同期させる「Simplify Music 2」

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「Simplify Music 2」というiPhoneアプリを導入しました。




これ、超絶に便利。なんせ、自宅にあるiTunesのライブラリをそのまま持ち出せるのである。普通にUSB接続して同期すればいいじゃん?という話もあるが、なんせPC上のライブラリはiPod Classicならギリギリ入る150G強。容量を圧迫するので外付けHDDに入れてるくらいの代物だ。

オフィシャルサイトはこちら。
http://www.simplifymedia.com/

使い方は、
1.上記のオフィシャルサイトからPC版のクライアントソフトをダウンロード→インストール。
2.起動し、アカウントやプレイリストを設定。
3.iPhone用アプリケーションを購入。

これで、wi-fi環境下でも3GでもPC上の音楽を聴くことができる。3Gではトラフィックの関係上音質を圧縮しているようだけれど、実用レベルではまあまあ大丈夫。



再生画面はこんな感じ。ジャケは表示されたりされなかったり。Last.fmへのリンクで歌詞やアーティスト情報が表示されるのもなかなか便利。

複数のPCにそれぞれホストアプリケーションをインストールすればその全てを再生できるし、招待されれば、友人のプレイリストを再生することもできる。

800円とちょっと高めなのだが、これは手放せないアプリになりそう。

ダウンロードは以下から。

Simplify Music 2




エレファントカシマシ「太陽と月の下の往来」@日比谷野外音楽堂

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エレファントカシマシの日比谷野外音楽堂2days、一日目に行ってきました。

開演時間を少しまわった17:45頃にスタート。天気は雨。フジ・ロックでも使っているレインウェアを持っていったんだけれど、さすがに秋の雨は冷たい。途中からは寒さとの戦いになっていく。

MCでも言っていたけれど、かなりマニアックなところを織り交ぜた選曲だった。特に前半。「女神になって」とか「石橋たたいて八十年」とか「暮れゆく夕べの空」とか。

やっぱり野音20周年ということで、特別な場所だったんだろうな。今年の武道館がわかりやすい形で外に向けた彼らの姿だったのとは対照的な印象だった。




a flood of circle取材

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PARADOX PARADEPARADOX PARADE
(2009/11/18)
a flood of circle

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2ndアルバム『PARADOX PARADE』をリリースするa flood of circleを取材。

今年4月にアルバム『BUFFALO SOUL』でメジャーデビューを果たすも、そのツアーファイナル直前にギタリスト・岡庭匡志が失踪。取材直前の10月14日に脱退が発表されたばかり。すでに報じられてはいるが、当然その話にはなる。

ナタリー/a flood of circle、ギタリスト失踪事件のすべてを明かす
http://natalie.mu/news/show/id/21379

結局3ヶ月間、メンバーもスタッフも本人とは全く連絡を取れていないという。それでも本人の無事は確認できており、なんらかの事件に巻き込まれたということではなさそう。訊き難い話題になるか……とも思ったが、本人たちにはもう意識は「次」へと向かっているようだった。

アルバムには、ライヴ・サポートをつとめている奥村大(wash?)に加えて、菅波栄純(THE BACK HORN)、安高拓郎(椿屋四重奏)、竹尾典明(FoZZtone)という4名のギタリスト陣が参加。なんでも、面識のなかった菅波にはメンバー自ら手紙を「筆で、なるべく達筆に」したためて、参加をお願いしたとのこと。ギタリストが居なくなって3人になったからスリーピースっぽいシンプルな音になるのかとも思ったけれど、実際はその逆。かなり派手にギターがフィーチャーされたアルバムになっている。そういうところも逆境をはねっ返すような彼らの意地が感じられて、すごくいい。

もともとがむしゃらな勢いを感じさせるところがいいなあ、と思っていたバンドだけれど、幸か不幸か、ギタリストの失踪を経てその「がむしゃらさ」に芯としてのリアリティが出てきた感じもする。


アルバム制作にtwitterを活用する□□□(クチロロ)

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12月2日にニュー・アルバム『everyday is a symphony』をリリースする□□□(クチロロ)を取材。


(アマゾンではまだ詳細がUPされてなかったので、オフィシャルサイトへのリンクを張っておきます)


あのいとうせいこうが正式メンバーとして加入(!)したことが今年7月に発表され、3人編成になった□□□。新作はフィールドレコーディングというアイディアをもとに日常の音風景をポップに再構築したアルバムで、すごく面白くて斬新な一枚。その内容と革新性については後日改めて書きたいと思うのだが、それとは別に「これは新しい!」と思ったのが、彼ら3人がtwitterをやっていて、そこでアルバム制作のやり取りがオープンになっていること。

三浦康嗣 (koshimiura) on Twitter
http://twitter.com/koshimiura

いとうせいこう (seikoito) on Twitter
http://twitter.com/seikoito

村田シゲ (ughhellabikini) on Twitter
http://twitter.com/ughhellabikini


@ughhellabikini 39! @seikoito ウグイスの声アップお願いします。温泉の曲、結構おもろくなりそうです。
http://twitter.com/koshimiura/status/3566449784


@seikoito  「夢中」にリリック追加しました。文字通り「夢の中」というテーマでリリックよろしくお願いします。フォーエバーヤン的なラップと朗読の中間的なイメージででもリズムは乗ってる的な
http://twitter.com/koshimiura/status/3423725167



ファンへの呼びかけもtwitterにて。当日に路上ライブを告知して、それで結構人が集まったりする。このスピード感。

しげ、せいこうさんも書いてたけど、今日急遽路上ライブやります。エイベックスビル前広場にて。しかもそのライブを録音してそのままアルバムに収録します。みなさま遊びにきてください。
http://twitter.com/koshimiura/status/3951208027



海外のミュージシャンでtwitterのアカウントを持って自ら発信している人は多いけれど、J-POPの世界でここまでやってるのは、□□□が初めてじゃないだろうか? 

そういえば、前のアルバム時ののインタヴューで三浦康嗣に「今の時代、ポップであるというのはどういうことなんだろうか?」という質問をした。彼はそのとき「ぶっちゃけているもの、さらけ出していて裸のもの」と答えていた。まさにその通りの活動形態なわけだ。

ちなみに、取材のこともしっかりUPされてた。

barfout取材@avex 終了。
http://twitter.com/koshimiura/status/5065942633




Psysalia Psysalis Psyche 『Matin Brun』

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そうだ。このバンドについて書くのを忘れていた。サイサリア・サイサリス・サイケ(=通称サイサリ)の1stアルバム。

去年のミニアルバム『Psysalism』も聴いていたけれど、一聴した瞬間に「化けた」と思った。その時に比べると格段に“深み”が増している。パンキッシュな衝動だけのバンドだと思っていたけれど、そんなことはなかった。アルバムには、美しくもグロテスクな“闇”のようなものと、その先を抜けた眩しさのようなものが描かれていて、それに惹きつけられる。アルバムの中で一番好きな曲は“Titan Arum”。PVもヤバい。

Psysalia Psysalis Psyche - Titan Arum from STYLE BAND AID on Vimeo.



映像は、フラワーアーティスト・東信と映像作家・椎木俊介が手がけたもの。同じく東信が手がけたシングル「Midunburi」もいい。この、毒々しくも鮮やかでサイケデリックな色彩感。

Psysalia Psysalis Psyche - Midunbri from STYLE BAND AID on Vimeo.



アルバム・タイトルの『Matin Brun』は、心理学者フランク・パヴロフによる同名の童話より(日本語版は『茶色の朝』という題名で、ヴィンセント・ギャロの挿絵をつけて出版されている)。「茶色以外の犬猫を飼ってはならないという法律がある日制定された」というところから始まる、淡々とした日常の中に忍び込む全体主義への警告を現した寓話だ。

そのテーマは、そのまま今の彼らが立っている現状とリンクする。日本のロック/ポップスのシーンにおいて、一つの共感の“型”が生まれてきている。ライヴの場では、無数の手が、同じように突き上げられる。同じタイミングで左右に振られる。そのこと自体をどうこう言うつもりはないが、違和感を感じる人がいるのは当然だと思う。彼らのパンキッシュな“反抗精神”はそういったものへのアンチテーゼとして、ある種耽美的な美意識とともに現れてきているのだと思う。

Matin BrunMatin Brun
(2009/10/21)
Psysalia Psysalis Psyche

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YOLZ IN THE SKY

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2ndアルバム『IONIZATION』をリリースするYOLZ IN THE SKYを取材してきました。

IONIZATIONIONIZATION
(2009/11/04)
YOLZ IN THE SKY

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新宿LOFTでのライブを控えリハ前でのインタビュー。そのままライブも観てくる。

ポストパンクとジャーマンロックが融合したような、刺々しいんだけどミニマルで踊れる不思議な音楽性を持つバンドだ。わかりやすいポップさはない。が、そのギザギザした感触が妙に耳に残る。VO萩原のハイトーンのシャウトはPOLYSICSやLOSTAGEにも繋がるテイストだし、今のシーンだったらこれだけ歪な音楽性を持ったバンドでも、ライブの場で勝ち上がっていくことができるだろうな、という気もする。


サンシャイン牧場とドラクエと「繋がり消費」

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mixiアプリの「サンシャイン牧場」の登録ユーザーが開始1ヶ月で150万人を突破したという。堂々たるミリオンヒットだ。無課金なので純然たるヒットと言えるのかどうかはわからないけれど、それにしてもこのアテンションの高さには驚く。

実際、僕もハマっている。でも冷静に考えると、ゲームとして格別の「面白さ」があるわけではない。クリックして種を植え、水を入れたり虫をとったりして、作物を育てる。ある程度の時間が経つと実や花が成熟するのでそれを収穫する。同じように、ヒナから鳥を育てて卵を収穫したりする。そうすると経験値やコインがたまる。

考えるまでもなく不毛な作業である。たぶん、これがスタンドアローンのゲームだったら、ここまでのヒットはなかっただろうと思う。

たぶん、SNSならではの「浅くデザインされたコミュニケイション」に何かのキーがあるんだと思う。サン牧にメッセージやチャットの機能は実装されていない。基本的にみなマイミクの畑を無言で手入れしたり作物をつまんでいったりする。一言の挨拶くらいは設定することができるけれど、コミュニケイションが濃く、深くなり得ないデザインがされている。なんとなく、ドラクエ9の「すれ違い通信」に近いものを感じる。

そう考えると、二種類の方向で考えることができる。まず、ゲームとして考えると、最早「物語」を消費させるよりもコミュニケイションを消費させるほうに流れが向かっているんだなあということ。しかも、それはライトであればあるほど裾野が広がる。これについてはドラクエ9が非常に意識的にデザインされていると思う。従来型の「世界を滅亡から救う」という大きな物語をクリアしても、ソフトの楽しみは半分も終わらない。ユーザーは、無数に存在する宝の地図を求め、現実の街を彷徨くことになる。そして、たった一言の表現をすることなくとも「すれ違う」ことができる。繋がっているという感覚を味わうことができる。

そしてSNSの流れから考えると、これまで繋がっているという感覚を味わうためには、少なくとも何かを表現する必要があった。日記にしろ、興味を持った分野のコミュニティにしろ、何かを発信しない限り、情報の海を眺めているのと変わらなかった。そこから考えるとただクリックするだけというのは、明らかにハードルが低い。

サンシャイン牧場のヒットは、いわば「繋がり消費」というものが求められていることの証左なんだろうな、と思う。それもできるだけ負荷の軽いもの。モバゲーなど他の世界は知らないが、おそらく同じ傾向があるんじゃないかな。

エンタテイメントのコンテンツから時代を読み解くということを考えると、サン牧は確実に何かの象徴になりかかっている。個人的には各人の興味が島宇宙化してきた00年代の行き着く先として、この「ノンコミュニケーション繋がり消費」があったんじゃないかと思っている。

この先に何があるのかは、よくわからない。でも、「大きな物語」の解体は遂にここまで来たんだ、と思う。


BARFOUT! Vol.171

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BARFOUT! 171BARFOUT! 171
(2009/10)
不明

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BARFOUT! 171BARFOUT! 171
(2009/10)
不明

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『BARFOUT!』のVol.171にてdoping pandaのインタビューを担当しました。
取材の場は、7月にできたばかりだという彼等のプライベートスタジオ。スタジオといっても、世田谷区の住宅街のさなかにあるとあるマンションの地下スペース。僕がいったときにはまだセッティングも完全ではないらしく、楽器や機材がそこら中に積まれていたりする。ドラムのケースを机がわりにしての取材。しかもシングルの音はまだ作っている途中ということで、聴けたのは表題曲のみ。数日後にはツアーが再開するというタイミング。furukawaは明らかに徹夜の作業明けという感じ。

doping pandaというバンドは、いま、明らかに過渡期にあるんだと思う。いろいろなことが手探りで、しかし拠点をかまえたことで間違いなく音は変化していくはずだ。そういう状況ならではの話ができたと思う。


anthem(DVD付)anthem(DVD付)
(2009/11/04)
DOPING PANDA

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iPhone標準のボイスメモをICレコーダーとして使う

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今までは専用のICレコーダーを使ってインタヴューを録音していたんだけれど、ふと思いいたってiPhoneの純正アプリ「ボイスメモ」を使ってみた。

“メモ”とあるだけに録音時間も短いのかな、と思っていたら、そうでもない。長時間録音も対応している。音質も悪くない。録音した内容をメールで送信することもできる。

ただ使いづらい点としては、

・AACロスレスファイルで録音できるので、パソコン転送した際に再生できるソフトが限られる。
・長時間録音するとメール添付は付加。

あたりかな。

「iDict Recorder」というアプリを使えば、その辺の不満も解消されるらしい。試してみよう。


あと、取材中に電話がかかってきたらどうすんだ?ということが不安だったんだけれど、そもそもかかってきても出れないのだから「飛行機モード」にして3Gを切っておけばいいのだった。


ACIDMAN LIVE TOUR “A beautiful greed”@ZEPP TOKYO

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ACIDMANのライヴに行ってきました。

ツアー "A beautiful greed"初日のZEPP TOKYO。フェスやイベントはさておき、彼らのワンマンを観るのはかなり久しぶり。昨年夏の幕張メッセ以来かな。そしてあの時は大木の喉の調子が万全ではなかった印象も強かったので、ここまで“磐石”な彼らを観るのも久しぶりかもしれない。2時間にわたって、全く“ブレ”がない。3ピースでここまで広い世界を描けるんだなあ、と彼らのライヴを観るたびに思う。

初日なのでセットリストをあげたりすることは控えておくけれど、今回のツアーでのハイライトの一つは間違いなく“HUM”になるだろう。あの轟音の音圧、ハイトーンの歌声、淡々とした曲調なのに衝動を叩きつけるようなプレイ。アルバムの中でも異彩を放っていた曲だけれど、生であれを浴びると圧倒される。ACIDMANというバンドがこれまで描いてきた“静”と“動”の二極性とはまた別の、新たな境地を感じさせる曲だと思う。

A beautiful greedA beautiful greed
(2009/07/29)
ACIDMAN

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delphic『counterpoint EP』

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カウンターポイント EPカウンターポイント EP
(2009/10/21)
デルフィック

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delphicがいよいよ日本デビュー盤をリリースする。今夏のサマーソニックでライヴをちょっとだけ観てから、ずっと好きだったバンド。そのときにはすでに早耳たちの間で大分騒がれてると知って歯噛みしたバンド。ここ数年次々と現れていたUK周辺の「ダンス+ロック」のバンド達には(最初はすごく盛り上がっていたものの)そろそろ食傷気味かなあと思っていた最中、彼らの音はとても新鮮に響いた。

マンチェスター出身の3人組。彼らがバンド・サウンドに取り入れたのは90'sテクノだ。ループするピコピコしたシーケンスが心地よい高揚感をもたらして、その真ん中で歌う歌声はとてもメランコリック。こういう人達はいなかった。それと同時に、曲作りのクオリティがすごく高い。いわゆる「もっていく」曲を作っている。

老舗テクノ・レーベルのR&Sが彼らのリリースをするために復活したというのも、なんだか頷ける話だ。



彼らのMySpaceページには、新曲 "Alterstate"もアップされている。これもすごくいい曲。フィルターシンセの鳴り方に「懐かしい!」と思ってしまうのは、自分がオヤジになった証拠なのかな。それでも、彼らの根元にあるものが、とても芯の強いロマンチシズムとセンチメンタリズムであることは、この曲でも伝わってくる。

http://www.myspace.com/delphic


11月にはブロック・パーティのオープニング・アクトとして再来日も決まっている。楽しみ。


MARQUEE

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MARQUEE vol.75MARQUEE vol.75
(2009/10)
不明

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MARQUEE vol.75にて原稿を担当しました。

担当は表紙巻頭のビートクルセイダーズでのクボタ&マシータのソロ・インタヴュー、PEOPLE IN THE BOX、PERFECT PIANO LESSON、プリングミン、そしてシューゲイザー特集など。

手応えのある記事が多かったけれど、個人的にも入魂の内容なのは企画/編集から携わった
シューゲイザー特集。

【シューゲイザー・ルネッサンス2009… 今、再構築・多様化するシューゲイザー】
What is“tokyo feed back renaissance”!?
interview:木下理樹(ART-SCHOOL)
interview:ハタユウスケ(cruyff in the bedroom)
ネオ・シューゲイザーを知るディスク×12



ART-SCHOOL木下理樹くんが海外のニューゲイザー~モダン・サイケのシーンについて、cruyff in the bedroomハタユウスケさんが日本のシューゲイザー・シーンの今を語ってます。ディスク選ではGrizzly Bearまで入れる強引さで「シューゲイザー」という言葉の再解釈を図っています。

去年のフジ・ロックでのマイブラ、Deerhunterの局所的な人気を見ても、シューゲイザーのリヴァイバルの再解釈は徐々に進んでいるように思う。80'sポスト・パンクのリヴァイバルからニューレイヴを経て、ブルックリンあたりのサイケ・フォークとリンクしながら、「浮遊感のある、祝祭的な音楽」が少しずつ台頭している気がしている。

この辺の動きにはアンテナを張っていたいと思う。


PEOPLE IN THE BOX『Ghost Apple』

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Ghost AppleGhost Apple
(2009/10/14)
People In The Box

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とても挑戦的なアルバムだと思う。曲名を並べると、

1. 月曜日 / 無菌室
2. 火曜日 / 空室
3. 水曜日 / 密室
4. 木曜日 / 寝室
5. 金曜日 / 集中治療室
6. 土曜日 / 待合室
7. 日曜日 / 浴室

つまりは全曲に一貫する世界観を持ったコンセプチュアルなアルバムなんである。変拍子や変調/転調を多用した一筋縄ではいかない曲展開に、現実と異世界が交錯するような錯覚を感じさせる歌詞。それでいてメロディはとてもポップ。中盤「木曜日 / 寝室」あたりはかなりアヴァンギャルドで不穏な曲調だけれど、ラスト「日曜日 / 浴室」のメロディは感動的ですらある。そしてCDの一番最後に収録されているSEの音が持つ意味に思い当たると慄然とする。

思い起こせば1~2ヶ月前、マスタリングが完了したばかりのタイミングで彼らに取材したことがあった。その時はスタジオの打ち合わせブースのようなところで、出来上がったばかりの音源をヘッドフォンで聴かされたのだった。そのときに感じた身が震えるような感覚は今でも変わっていない。シンプルに「すごいアルバムができたなあ」と思った。「おいおい、これがメジャーデビュー作かよ!?」とも思った。その時書き殴ったメモには「背徳的」「美しい」とある。

Vo/Gの波多野は、出来上がったアルバムや自分自身の美学に関して「反社会的」という言葉を使って表現していた。社会で一般に共有されている倫理やルールよりも「美しさ」を重視すること、その決まり事の奥底にあるものを掘り進もうとすることで、自分の音楽が成り立っていると語っていた。

シンプルなギターロックの羊の皮を被っていながら、とんでもないラジカルさを持ったバンドだと思う。


Skype for iPhone/iPod Touch

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以前に「iPOD Touchを無料でSkype化する「fring」」という記事を書いたことがあったけれど、そういえばとっくに公式アプリがリリースされているのだった。



Skype for iPhone & iPod touchのダウンロード(skype.com)
http://www.skype.com/intl/ja/download/skype/iphone/

これを使えば、無線LAN環境ではiPod Touchが「電話化」する。通話音質も悪くない。iPhoneだとイヤホンマイクを刺さずとも通話できる。
さらにSkypeの「月額プラン」を使うと、月約700円で固定電話に無制限の発信ができる。

固定電話に実質無制限の通話を発信(skype.com)
http://www.skype.com/intl/ja/allfeatures/subscriptions/

我が家でも導入しています。海外や遠隔地に友人や家族がいて長電話が多い場合は、かなり通話料を節約出来ると思う。

ただ難点は、携帯電話への発信は一分あたり20円の通話料がかかることと、発信元表示が「通知不可」もしくはかなり面妖な番号になること。これはいまのところ、オンライン番号を取得しても改善されない仕様。さすがに電話を受ける側にとっては「通知不可」と表示された相手からの着信は警戒するだろう。

というわけで、便利だしお得なんだけど結局万能ではない、といったところか。


LUMINOUS ORANGE取材

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残響RECORDからベスト盤をリリースするルミナスオレンジを取材しました。

Best of Luminous OrangeBest of Luminous Orange
(2009/11/04)
Luminous Orange

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インタビューの内容は、92年の結成から17年のキャリアをじっくり聞いでいくというもの。さすがに長い。そしてタフだなあと思う。ほとんどソロプロジェクトとしてサポートを迎えながらやり続けてきた訳だから。

そして、僕が知る中では三本の指に入るミュージシャンズ・ミュージシャンでもある。かつては小山田圭吾が惚れ込んでトラットリアからリリース。かつてはアヒトイナザワや中尾憲太郎が、現在はマヒルノのベース河野、相対性理論のドラム西浦がサポートをつとめる。コーネリアスとナンバーガールと相対性理論が並ぶピープルツリーなんて他にないだろうと思う。

掲載は次号のMARQUEEにて。


clammbon@日比谷野音

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クラムボンの日比谷野外音楽堂、10周年公演に行ってきました。



まずはセットリスト。

みつばち
はなればなれ
ドギー&マギー
シカゴ
ロマンチック
サラウンド
便箋歌
ララバイサラバイ
id
addolessence~imagination
Folklore
sonor
バイタルサイン
THE NEW SONG
Merry Go Round
NOW!!
(ec)
森渡り
タイニープライド

このセットリスト、勘のいい人なら見ただけで今日が特別な意味を持ったライブであることはわかるだろう。ライヴのタイトルは「10月10日に10周年ありが10!!!」。まさに感謝祭なわけだ。

デビュー曲『はなればなれ』のB面曲から一番新しい曲まで、10年間の歩みを追っていくような曲順。途中では客席の真ん中のスペースで演奏したり、自然体のステージならではのほんわかした感じもたっぷり。MCはすぐに脱線するし、お客さんの掛け声は絶妙に面白いし。

でも。ライブを観ながらいろんなことが思い出されて、すごく感動的だった。初めて下北沢QUEでワンマンを観て、確信を持ったときのこと。出来上がったばっかりの「サラウンド」を聴いたときの会心の気持ち。「ララバイサラバイ」の轟音。フジロック、身体が震えるような思いを味わった「バイタルサイン」。

アンコールはミトくんが中学生の頃に書いたという「森渡り」。そして新曲「タイニープライド」。新曲はすごくダイナミックで、これまた胸に響く曲だった。

デビュー・アルバムの『JP』で取材したときに僕が彼らにつけたキャッチコピーを思い出す。今はすっかり貫禄を感じさせる3人だけれど、あの言葉は、今でも彼らにピッタリはまると思う。

「新種の音楽生命体」。

JPJP
(1999/10/06)
クラムボン

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SPANK PAGE/のあのわ JOINT TOUR 2009 星降る夜への音楽旅団

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渋谷クアトロにて、「SPANK PAGE/のあのわ JOINT TOUR 2009 星降る夜への音楽旅団」を観てきました。



この2バンドが対バンツアーをする意味というものについては、9月20日発売号のロッキング・オン・ジャパン誌に長文レヴューを書いた。そこからの抜粋。

(前略)
いまやフェスやライヴの現場でアーティストと直に繋がる体験は、音楽リスナーにとって、当たり前のものになってきている。CDセールスの落ち込みも(それを補うほどに配信が伸びていないという事実も)、音楽というカルチャーの重心がどんどんライヴの場に移っていることを示している。
 だからこそ、そこで“勝っていく”バンドやアーティストには、フィジカルな強さが求められることも多くなってきていると思う。タオルを振り回して、拳を突き上げて、そうして一体感を生み出すことのできるような、汗の匂いのするロック。踊れたり盛り上がったり、身体にダイレクトに作用するアグレッシヴなロック。特に邦楽のシーンにおいては、そういうものがライヴの現場における一つの王道になっている気がする。勿論、そういう傾向自体をどうこう言うつもりはない。以前に比べれば好ましいことだとも思う。けれど、ふと思ったのは、もしそれがメインストリームだとするならば、そこに対しての“オルタナティヴ”はどういうものになるんだろう、ということ。それを考えるきっかけになったのが、先日リリースされたSPANK PAGEとのあのわのアルバムだった。
 9月9日に1stアルバム『SPECTACLE』をリリースしたのあのわ。そして8月19日に『らしさのありか』をリリースしたSPANK PAGE。彼ら2組は、「星降る夜への音楽旅団」と銘打って、9月から10月にかけて全国でカップリング・ツアーを行うことが決定している。とはいえ、お互いの音楽性が似通っていたり、同じジャンル/シーンに属しているというようなわけでもない。のあのわは、チェロを奏でながら歌うYukko率いる5人組の楽団。まるで遊園地やサーカスのようなメルヘンチックなポップ世界を作り上げている。一方SPANK PAGEは、レディオヘッドやコールドプレイをルーツに感じさせる、透明感ある歌声とスケールの大きなサウンドで勝負するタイプのロック・バンドだ。でも同時期にデビューを果たしたこの2バンドが共にツアーをすることに、僕は何か象徴的なものを感じている。
 鳴らしている音の感触は違うけれど、彼ら2バンドに共通しているのは、とてもドリーミーな音楽であることだ。そう一言で言ってしまうのは乱暴だろうか。でも、二組とも、ザクザクした空気を切り裂くようなものとしてではなく、包み込むような繊細なレイヤーの積み重ねとして、バンド・アンサンブルを奏でている。キーボードや打ち込みも駆使して、色彩感豊かな情景を描き出している。
 それでいて、二組ともそういう音の風景描写力だけに頼らず、聴き手との共感を結びつけるような歌詞の言葉を歌おうとしている。のあのわは、かつてはポスト・ロック周辺に影響を受けた、より洋楽志向の強いバンドだったという。SPANK PAGEも、2年前にバンドのスタイルをシフトチェンジして、より素直な言葉で歌詞を書くようになったことをインタヴューで明かしている。それ以前はより実験的な音楽性だったという。たぶん、シガー・ロスあたりが共通のルーツになるのだろうな。それでも、彼ら二組は自らの音楽を「開けたもの」にするために、より真っ直ぐなメッセージへと踏み出したという経歴を経てきている。

(歌詞引用略)

 のあのわはキュートな歌声で溢れるような歓喜を、SPANK PAGEはドラマティックなメロディにのせて光を求めるポジティヴィティを歌う。でも、二組ともその背後にある弱さや喪失感といったナイーヴな感性を隠していない。その繊細さが、切実な“願い”としてのポップネスを生み出している。こうして書いていくと、辿り着いたサウンドは違っても、二組が共通の回路を通ってきたことはわかるだろう。幾重にも塗り重ねた音の翼が持つ飛翔力で、別世界のファンタジーを描き出すような音楽。彼らは、そういう言葉通りの意味で“ドリーム・ポップ”と言うべきアーティストなのだと思う。そこにあるのは、肉体的な高揚感に対するオルタナティヴとしての、幻想世界だ。
(後略)



 ここに書いてある通り、僕はこの2バンドは、明らかに言葉本来の意味での“オルタナティヴ”、つまり「もう一つの選択肢」を担う可能性を秘めているんじゃないかと思っている。

「夕方に目覚めて何も出来なかった日曜日」の後悔や憂鬱をMCで語って“呼吸”をプレイしたSPANK PAGE。スケール感と完成度はすごく高いのだから、もう少し“引力”を感じさせて欲しかったというのが、正直なところかな。

それで言うと、のあのわのハジけてる感じはよかったなあ。“リズム”で全員がサンバの手拍子をするところとか、ライヴならではって感じもするし。“SPECTACLE”や“Line”のような曲には歓喜の爆発力を感じるし。なんというか、Flaming Lipsにとっての“Race For The Prize”みたいな「必殺の一曲」ができたらさらに化けそうな予感もするのだ。

らしさのありからしさのありか
(2009/08/19)
SPANK PAGE

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SPECTACLE(初回限定盤)(DVD付)SPECTACLE(初回限定盤)(DVD付)
(2009/09/09)
のあのわ

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「シモキタ」への思い、さまざま

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茶沢通りから原付に乗って下北沢を抜けると、小田急の踏み切りの工事が大分進んでいることに気付かされる。ディスクユニオンからスズナリのちょっと先。地下化、複々線化がだいぶ進んでいるようだ。新駅舎のデザイン案も発表された。

平成 28年度 (7年後) 完成の駅[下北沢南口商店街の白髪爺さん吉田くによしのブログ]


しかしこれがだいぶ反対を集めているらしい。コメント欄はだいぶ荒れていたようだけれど、今では削除されている。こんなページもあった。

小田急線下北沢駅の新駅舎案が猛反発される理由[絵文録ことのは]

下北沢再開発問題についてもう一度まとめてみる(ゼロ年代の都市計画)[絵文録ことのは]


下北沢という街にはいろいろな人の立場と思い入れがあり、それが複雑に交差しているようにも思う。基本的には僕は、「演劇・音楽の街」としての、あの街並みは好きだ。歩いて行ける範囲にライヴハウスと飲み屋と小粋なカフェが並んでいるイメージ。以前に曽我部恵一さんに「下北沢という街について」という取材を行っている。『PAPYRUS』の2009年2月号、「下北沢DIY」という特集だ。そこでの彼の発言に近い。

前にイギリスのブライトンに遊びに行ったことがあるんですよ。そこではみんなが自然に身の丈で音楽をやっていて、そういうの、すごくいいなって思った。街にちゃんとアイデンティティがある感じがするんですよね。古着屋さんとかレコード屋さんがあって、小さなカフェの地下のクラブで毎日誰かがDJをしている。そういう、フラットな感じで街に音楽があるんです。
下北沢も、その街が持ってるサイズ感でこじんまりとみんな充足している。好きな街で、好きなように楽しんでる。それがすごくいいなって思うんです




papyrus (パピルス) 2009年 02月号 [雑誌]papyrus (パピルス) 2009年 02月号 [雑誌]
(2008/12/27)
不明

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ただ、僕自身は「再開発計画で文化が消滅の危機に!」というような、眉をひそめて声を張り上げて“反対運動”的なトーンにも、ちょっと違和感を覚えるのも事実。僕自身は下北沢の住人ではないし、そこで商売を営んでいるわけでもない。だから当事者としての意見ではないけれど、「失われていくもの」に関してのノスタルジーには、そこまで共感しない。もし駅舎のデザインとか道路一本で文化が消えてしまうのならば、それはその程度のものなんだろうという気もする。時代は移り変わるし、時計の針は巻き戻せない。そして、そこで暮らす人達のムードやトーンで街の雰囲気は作られるから、たとえ駅がガラス張りのデザインになろうと、駅前に高層ビルが建とうと、ロータリーが出来ようと、そこを歩く人達が「好きな街で、好きなように楽しんでる」ことさえできるならば、「シモキタ文化」は潰えない予感がする。

一方で、やっぱり小田急地下化の跡地はロータリーにして車をがんがん入れるよりも、公園っぽい歩道にしたほうが「粋だよな」という感覚もある。ノルウェーのベルゲンに行ったときも思ったけれど、街の真ん中に車が入ってこない広い歩道があるって、すごく気持ちがいいんだよね。


(ベルゲンの街並み。ちょっと写真ではわかりにくいけれど、撮った背後は町の中心通りで、そこには車は入ってこれない。広い歩道があって、カフェのテーブルなんかが並んでいる。そこで人々がのんびりとコーヒーを飲んでいたりする)

それと、都内で車移動することもある立場としては「都市計画道路補助54号線」(スズナリから下北沢北口前を突っ切る幅26mの大通り)に関しては、シンプルに「いらないよね?」ということも思う。もうすぐ井の頭通りの拡幅工事が完了して片側2車線になる。そうすると、山手通りの富ヶ谷交差点から環七までわりとすっきりしたアクセスが可能になる。となると、別にわざわざ下北沢の街並みをなぎ倒して道路を突き通さなくても、世田谷から渋谷・原宿方面への道はある。むしろ茶沢通りの踏切を越えたところから大山交差点への道を拡幅するなり、そこから東北沢までの小田急跡地を道路にするなりすればいいんじゃない?とも、素人考えでは思う。

なんだかまとまらないけれど、僕としては、ノスタルジーに基づく感情的な“反発”には違和感を覚えるけれど、結局その人達の主張とは同じスタンスである、という感じなのかな。

複雑なのだ。


the HIATUS @新木場STUDIO COAST

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the HIATUSのライヴにいってきました。

「Ghost In The Rain Tour 2009」追加公演の一日目。場所は新木場STUDIO COAST。僕が彼らのステージを観るのは、これが初めて。とても期待していたんだけれど、その期待以上に凄まじいものだった。

アルバムを一枚出したばかりのバンドなので、2回のアンコールを含めて正味1時間少しのセット。でもそれは、最初から最後まで、音楽に「持っていかれる」という感覚を身体の隅々まで味わっているような時間だった。

僕はSTUDIO COASTの2階席からライヴを観ていた。この位置でステージを観るということは、必然的に視線は俯瞰になる。そして僕自身、ライヴを観ながら批評的・分析的な見方をすることも多い。今日も最初はそうだった。ギター2本が沢山の種類の歪みを使い分けて空間を作っていること、隙間の多いフレーズからパンチ力ある展開までドラムが疾走感の緩急を支えていること、ウエノコウジのベースは支柱としての役割に徹していること。そして堀江博久のキーボードがアンサンブルのキーになっていること。新曲がこれまで以上に凛と澄み渡る美しさを持っていること。そういうふうに「ふむふむ」といろんなことを考えながらステージを観ていた。だけど途中からそういうのが吹っ飛んだ。

なんていうのかなあ、言葉ではなかなか説明できないんだけれど、柴田ヨクサルの漫画『ハチワンダイバー』の主人公がやる「ダイブ」に近い感覚。モッシュ・ダイブのダイブじゃなくて。『ハチワンダイバー』の主人公は、普段は9×9=81マスの攻防戦を戦略・分析しながら戦っている。けれど大事な局面で「ダイブ!」と叫び、意識が盤面の中に潜り、液化した将棋盤を漂うなかで勝負の鍵を掴み取ってくる。そういうのに似た、「音楽の中に飛び込む」感覚。まるで津波のように音楽そのものが押し寄せてくる感覚。だから細かいことは途中でどうでもよくなる。曲に入るシンバルのカウントで、もしくはサビの前の一瞬のブレイクで、すぅっと息を吸ってロックの格好良さそのものに飛び込んでいく。ステージの上だけじゃなくて、フロアにいる全員をそこに連れて行く。そういう感覚を味あわせてくれるバンドは本当に少ない。

細美武士という人の持つ、とても純度の高い“本気”がそのエネルギーを生み出しているのだと思う。感服した。というか、何だか熱いエネルギーを受け取ったような帰り道だった。


Trash We’d LoveTrash We’d Love
(2009/05/27)
the HIATUS

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いしわたり淳治さん、取材

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いしわたり淳治さんを取材してきました。

計4時間以上の超ロングインタビュー。チャットモンチーや9mmを手掛けたプロデューサーとして、各方面で活躍する職業作詞家として、そしてその根底にある哲学や考え方について。すごくボリュームのある密度の濃い話をできた気がする。

以前のエントリでも書いたけれど、個人的にもずっとじっくり話を聞いてみたい人だった。なので、得難い機会だったし、なるほどと思わされる部分も非常に多かった。

掲載は10月28日発売の『PAPYRUS』にて。


中川昭一元財務省、死去

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中川昭一元財務相が死亡=自宅ベッドで、妻が発見-病死の可能性、東京・世田谷

ポロシャツと短パン姿で、体が冷たくなっており、布団は掛かっていなかった。自殺をうかがわせる形跡はないという。
 吐血はしていないが、ベッドには吐しゃ物が残され、室内の机の上には薬があり、医師が処方したとみられる。遺体の状況などからアルコール類を飲んだ疑いもあり、同署などは関連を調べる。
 家族の話では、最近は「眠れない」と話しており、病院に通い、睡眠薬を飲んでいた。



僕が自分のブログに、「中川昭一という人とその周囲について」とというエントリを書いたのが、今年の2月のこと。そこから半年とちょっとしか経っていない。バッシングは続き、選挙の逆風があり、落選し、相当のストレスはあったのだろう。そして死に至る。なんというか、とても痛切な話だなあと思う。

システムの側に立って、「正しい」立場に自らを置いて責めたてる側の「残忍さ」が省みられる気配は、どこにもない。


と、僕はあのときに書いた。その時に思ったことは、今でも変わっていない。基本的にメディアは、自らを「正しい」立場において言葉を発する。あるときは失敗を刺々しく責めたてる。もちろん、その理由はとてもわかる。「もしかしたら自分は間違っているかもしれない」と思いながら発せられる言葉は、喧騒の中では埋もれてしまう。

政治家としての資質は僕は判断できる立場にない。それでもなんだか気になる人だった。それが、こちらの記事をきっかけにして知った、中川昭一氏の公式サイトの2年前の日記。

中川昭一公式サイト > 最近のMyニュース > ハッとする絵を見てきました(10月12日))
http://www.nakagawa-shoichi.jp/mynews/detail/20071015_242.html

たくさんの名画を見ながら、「ふーん」程度で見進んでいったが、一枚の絵の前でハッとしてしばらく見続けた。
5枚のコピーとギャラリーの解説本を買い、家に貼ったが、家族全員に「気持ち悪い」と言われた。確かに夜中トイレに行くのに、電気をつけてギョッとしたこともあった。(決して変態な絵ではない)
解説本には「イギリスの歴史を描いた作品だが、芸術性は低い」とあった。
Lady Janeという絵だが、ハッとした理由は省略。



ladyjanegrey.jpg

Paul Delaroche 『The Execution of Lady Jane Grey』

おそらくこれだろう。今となっては、なにか不吉な暗示めいたものすら感じてしまう。29歳のときに同じく代議士であった父親を自殺により亡くしている人でもある。いろいろな話を伝えきくに、とても繊細な人だったんだろうと思う。

冥福をお祈りします。


たむらぱん@渋谷クラブクアトロ

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たむらぱん、初の全国ツアー「世界パンタム級ツアー」のファイナル。

デビュー当時から何度も取材してきたアーティストだけに、なんだか感慨深い。前にインタビューした時には自分の強みを「当たり障りのなさ」と言っていたけれど、そういう真っ当なポップスが真っ当に人気を集めてきたような感覚がある。人柄はほのぼのだしMCの喋りとかはフワフワしてるから気付きにくいけど、いわゆる「人間力」のようなものもあるんだろうな。

ヴァイオリンを披露したり、客席にせがまれてロッテ「fits」のCMソングを急遽アカペラで歌ったり、ライブならではのコミュニケーションも板についてきた感じ。

この日初めて披露された新曲『マウンテン』はテレビ朝日系アニメ『ご姉弟物語』の主題歌になるという。原作はヤングマガジン連載の『バカ姉弟』。"バカ"はNGだったのかな。


ノウニウノウン(初回限定盤)(DVD付)ノウニウノウン(初回限定盤)(DVD付)
(2009/06/03)
たむらぱん

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バカ姉弟 5 (KCデラックス)バカ姉弟 5 (KCデラックス)
(2007/01/06)
安達 哲

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the telephones@赤坂BLITZ

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テレフォンズ、赤坂ブリッツのツアーファイナルへ。




すごく痛快な空間だった。なんせ1000人以上が「ウィー・アー・ディスコ‼」と叫んでいるのだ。冷静に考えれば、言葉としては大間違いである。ディスコは場所であって人じゃあない。中学生程度の英語力があれば、だれしもがわかること。

考えれば、彼らの音楽性はいわゆる狭義のディスコミュージックからはかけ離れている。まずBPMが違うし、グルーヴの重心が違う。音楽的な要素で無理やりいうならば、USポスト・パンクからUKインディ・ダンスを横目に見ながら日本のロック・シーンに着地したような感じ。スピーカーの音圧もマキシマムだし、フロアもTシャツ勢がほとんど。というわけで、いろんな意味でthe telephonesは本来の意味の「ディスコ」ではない。

でも、その大間違いこそがむしろ“前提”になっていた。ということはどういうことかと言うと、彼らが音楽の力で無理やり言葉の意味を更新したのだ。汗まみれで笑顔で踊り出さずにはいられないような状態、それがすなわちディスコ。だからそこがライブハウスだろうと、ステージに立ってるのがゴリゴリのロックバンドだろうと、ミラーボールが回る下はダンスフロア。EP『Love&DISCO E.P.』とアルバム『DANCE FLOOR MONSTERS』、そしてライブの場で完全にそういうイメージを打ち立ててしまった。

とはいえ、僕としてはやっぱり新作アルバムの中での最重要曲であり、「脱ディスコ曲」だった「Yesterday, Today, Tomorrow (My Life is Beautiful)」をどうやるか?が興味の対象でもあった。アンコールの最後に、「全てを込めます」とのMCと共に彼らはその曲をプレイした。あの曲の、まるで寅さんみたいなベタなシンセ・メロディが感動的なまでにポップに聴こえるのが、僕はアルバムの最大のマジックだったと思う。いわばフレイミング・リップス的な、キラキラとした白い粉が降ってくるような歓喜とサイケデリア。それがちゃんとフロアのお客さんにも届いていたみたいで、ちょっと安心した。

DANCE FLOOR MONSTERSDANCE FLOOR MONSTERS
(2009/07/08)
the telephones

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オンラインメモ帳「Evernote」

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オンラインメモサービスの「Evernote」を使っている。

Windows、Macintosh、それからiPhone/iPod Touchそれぞれにソフトをインストールしておくと、
それぞれのパソコンでメモったことやクリップした情報などが自動的に同期されるという仕組み。



これがiPhone/iPodTouch用の起動画面。

思いついたアイディアや気になった情報をとにかく放り込んでおけば後から検索も容易になる。テキストだけでなく写真や音声メモも書いておける。英語限定だけど、手書きのメモを撮影しておけば、その文字が検索でちゃんと引っかかったりもするらしい。

そこまでは使いこなせてないけれど、手放せないアプリの一つ。主にライヴや取材のメモを入力するのに重宝しています。

ダウンロードは以下から(iTunesが立ち上がります)。
Evernote


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