日々の音色とことば:

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Fuji Rock Festival '12 3日目感想まとめ

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3日目も快晴。いやあ、人が多い! 今までにないほどの人出だと思うな、これ。苗場に向かう道もかなり渋滞していて、駐車場を降りて会場に入ると、もう昼を回ってた。この時点で、今日一日が行列や混雑を抜けてどう快適に過ごすかというテーマが決定。

グリーンステージにつくと、初っ端のギャラクティックの終盤。これがもう、笑うくらい盛り上がってる。前方の通路前はぎっしりの状況で、しかもかなりの人が踊りまくってる。日曜の朝イチのグリーンステージって、もっとのんびりムードな印象じゃなかったっけ? 転換時もこんな感じ。



■toe 14:00〜 グリーンステージ



で、楽しみにしていたtoe。これも予想以上の人出。素晴らしい。こういうオルタナティブなバンドがメインステージを堂々とつとめて、しかもきっちりと受けるというのは、フジロックならではだと思うな。ゆるゆるなトークから、1曲目は“グッドバイ”。オリジナルバージョンだと土岐麻子さんが歌ってる曲だけど、ちょっと歌声の響きが違う。誰だろう? 曲終わりに紹介された。ACO、とのこと。うん、ぴったり。この透明感、たまらない。

で、続いては新作『FUTURE IS NOW EP』から、ACOが参加したナンバー“月、欠け”。toeのアコギの音色は、ガットギターなのかな、すごく柔らかくてエモーショナルで、キュンキュンするんだよねえ。鉄琴の音色もハマってる。ドラムも、なんというか,粒が立ってる感じがする。平面的なベタッとした音じゃなくて、ツヤっとした光沢感と丸みのある音によるアンサンブル。そういうところが好き。

というわけで、ボーカルナンバーはここまで。後半は、エフェクティヴなギターを活かして轟音に上り詰めていくような曲調。そしてやっぱり人が多い! toeでここまでグリーンステージがぎっしりになるとは。ちょっと感慨深かった。

■YAEL NAIM オレンジコート 15:10〜





ノーチェックでした。行きの車の中で友達に「いいっすよ、これ」とCDを聴かせてもらって「おお、いいね」ということになってオレンジコートへ。考えてみたらこの3日間で初のオレンジだ。

アコースティックギターを抱え、ベースとドラムを従えたシンプルな編成で登場。みずみずしい。

MacBook AirのCMソング“New Soul”で有名になった彼女だけど、あの曲のポップな風合いとは違ってアルバムにはダークでサッドな曲もあって、そっちのほうが僕の好み。ポーティスヘッドに近い感じもあるし、(いい意味で)垢抜けてないラナ・デル・レイといった感じもある。特に“Too Long”という曲が好き。

■quasimode 17:00〜 オレンジコート





そのままオレンジにて、クオシモード。よかった。思わず踊っちゃった。基本的なスタイルはクラブジャズなんだけど、盛り上げ上手なもんで、お洒落な心地よさよりも、ひたすら熱い。お祭り騒ぎの空間を作っていく。

ドラム、ウッドベース、ピアノ、サックス、トランペット、そしてパーカッションという編成。演奏が抜群に巧いのは大前提として、サービス精神があるんだろうな。だからお客さんもどんどん上がっていく。最後の曲が特によかった。


 ■EXPLOSION IN THE SKY 18:20〜 ホワイトステージ





ホワイトへ。アヴァロンから坂を降りると聴こえてくる、あのギターを掻き毟るように奏でる音。轟音。もう始まってた。MONOと向こうではレーベルメイトだったこともあるし、スタイルはすごく似ている。

僕は好きなんです、彼ら。

これに関しては、中毒みたいなものと言ってもいいのかもしれない。ぶっちゃけ、方法論の目新しさという意味で言ったら、たいしてないのも事実で(対してMONOは圧倒的に新しかった)。ゆったりとしたアルペジオや静謐なフレーズで、まるで積み木を高く高く積み上げていくかのように“抑制”の音色を積み重ねいって、そのうちにボルテージがどんどん上がっていって、そしてある箇所でそれを全てなぎ倒すような轟音の濁流のスイッチを入れる。ファズを踏む。ドギャーンと爆音がアンプから放出されて、あたりを真っ白に塗りつぶす。

どんな曲でも、もう展開は予想できてるんだよね。そういう意味では予定調和と言ってもいい。

でも、わかっていても、あのドギャーン!で、うっひゃーと嬉しくなってしまう。そういう意味で、僕にとっては嗜好品のような音楽。MONOが全然違うアプローチに挑戦していただけに、そこが際立った感じ。


■RADIOHEAD 21:30 グリーンステージ





一曲目、いきなり“ロータス・フラワー”。鳥肌。毛穴がゾワゾワするような、それでいて気持ちよく踊れるような、ブレイン・ダンス・ミュージック。今のレディオヘッドの真髄ってここにあるんだよなあという始まりでした。

実は『イン・レインボウズ』と『キング・オブ・リムズ』というここ2作はそれほど聴き返すことのなかったアルバムで、おそらくライヴもそこからの曲が中心になるだろうから、どうかなあとか思ってたんだけど。でも、実際に観ると、やっぱりバンドの演奏に「凄み」のようなものがあった。アトムス・フォー・ピースを経て、完全にバンドのグルーヴに対する考え方が変わった感じ。

冷たい感触のある、それでもバキバキに覚醒していくようなビート。これだけ身体に働きかけてくるフィジカルなグルーヴがあるのに、レディオヘッドの音楽って“みんな”の感じが全く無くて、そこがいい。たとえばデヴィッド・ゲッタみたいな、EDM(=エレクトロニック・ダンス・ミュージック)といわれる今のダンス・ミュージックによくあるスタイルって、「共有」が一つのキーになってると思うんだ。ブレイクで一回落として、そこから溜めて溜めて、4分から8分から16分、32分音符へと刻み方を細かくしていって、テンションを徐々に上げていって、ドカーン。ヒュー! みたいな。どこで盛り上がるべきかがわかりやすく提示されるから、数万人がそのピークポイントを共有できる。それがEDMの楽しみ方。それはそれですごく好きなんだけど、レディオヘッドのやってることは、まったく真逆。ひたすら踊れる音を鳴らしてるんだけど、わかりやすい盛り上がりどころを提示しない。メロディの抑揚やビートの強弱や、そういうダイナミクスで共有ポイントを設定しない。だから、それこそノエルがやった“ドント・ルック・バック・イン・アンガー”の大合唱とは別で、数万人がいるのに、それぞれが一人だという感触がある。

そういうことを前半で思ってました。

それにしても、全23曲、結構なサービスのセットリストだったと思います。それこそ最近の2作押しでひたすらくるかと思ってたくらいだから。

セットリストは以下。

1.Lotus Flower
2.Bloom
3.15 Step
4.Weird Fishes/Arpeggi
5.Kid A
6.Morning Mr. Magpie
7.The Gloaming
8.Separator
9.Pyramid Song
10.Nude
11.Staircase
12.There There
13.Karma Police
14.Myxomatosis
15.Feral
16.Idioteque
En:
17.Give Up the Ghost
18.You and Whose Army?
19.Planet Telex
20.Everything In Its Right Place
21.Reckoner
En2:
22.Bodysnatchers
23.Paranoid Android


“キッドA”も“ピラミッド・ソング”も “カーマ・ポリス”もやった。そしてトム・ヨークのMCも終始ゴキゲンだった。ゴキゲンというか、ちょっと「向こう側」に一歩踏み越えてしまっていたような……(笑)。「いらっしゃいませ〜!」なんて居酒屋店員っぽく突然叫んだり。

で、本編は“イディオティック”で終わり。アンコールは4曲。個人的には“エヴリシング・イン・イッツ・ライト・プレイス”が彼らの中では一番好きな曲なんで、それが終わった時にすでに満足感で一杯でした。すでに、終演の時間にもなっていたし。よーし、混雑を避けるために、早めに片付けて駐車場に向かうか、と。

そしたら、まさかのダブルアンコール。ラストは“パラノイド・アンドロイド”。いやあ、素晴らしかったです。堪能しました。



そういえば、開演前に「レディオヘッドまであと○分! トム・ヨークまであと○分! ヒュー!!」って、1分毎にカウントダウンして歓声をあげてた若者が隣にいたんだけど、いざ始まったら3〜4曲目あたりでもう座り込んで煙草吸ってた。本編終わって横見たら、膝抱えて爆睡してた。

まあ、フェスの楽しみ方は人それぞれってことで(笑)。

※追記 「エレクトロニック・ダンス・ミュージック」への捉え方が大雑把すぎるという指摘をいただいたので、ちょっと書き直しました。

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Fuji Rock Festival '12 2日目感想まとめ

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昨日に続いて、「ツイートするつもりだったフジロックのライヴ感想まとめ」です。やっぱり携帯の電波は入らず。人も多い! でも、それを除けばすごく快適な場所でした。


■SEUN KUTI & EGYPT80 13:00〜 グリーンステージ



いざ、二日目。この日は基本的にホワイトステージから動かないつもりのスケジュール。ほんとは、ホワイトステージのクラウド・ナッシングスから観る予定だったんだよね。でも車に忘れ物を取りに行ったり、なんだかんだしてるあいだに間に合わない時間になってしまって。それで観たのがシェウン・クティ&エジプト80。グリーンステージで昼間っぱらの2時間という長尺ステージ。すごいです。やる側も観る側も体力との戦い。前方で2時間踊るという豪の者の友人もいたんだけど、僕はそこまでは行けず。でも、すげえよかった。4〜5曲しか観れなかったから通りすがりの、ほんの一部だと思うんだけど、百戦錬磨のアフリカン・グルーヴ。筋肉質なアフロ・ビート。

ここ数年ずっと思ってることなんだけど、洋楽ロック誌は夏になるとフジロックの「完全ガイド」みたいな特集を組むんだけど、大抵この手のってスルーされてることが多いんだよねえ。さすがにシェウン・クティは乗ってたけど、大概グリーンステージとホワイトステージの大物をがっつり取り上げて、レッドマーキーの新人UKバンドやUSバンドを「注目! チェック!」みたいに扱って、ヘヴンとかオレンジとかに登場するアクトは「その他」扱い。たとえ小さい枠でも取り上げられてたらまだいいんだけど、大概はさらっと無視されてたりする。ストーン・ローゼズが偉大なロックバンドだったことなんてみんな知ってるしwikipedia見りゃ載ってるんだから、むしろそういう方が事前に紹介すべきアクトだと思うんだよねえ。特に「完全ガイド」を名乗るなら、ね。

まあ、僕も通りすがりの身なので偉そうなことは全く言えません。シェウン・クティは楽しかったです。


■MONO with The Holy Ground Orchestra 15:00〜ホワイトステージ






4人編成のインストバンドMONOが、20人編成の弦楽オーケストラ「The Holy Ground Orchestra」を引き連れてのホワイトステージ降臨。

凄いところにきたなって、本当に思う。僕は彼らをずっと昔から観ていて、それこそ下北沢の小さなライヴハウスで十数人のお客さんを前に轟音を濁流のように鳴らしながらアンプを蹴っ倒した頃からライヴを観ていて、それから何度もインタヴューでGOTO氏と会話を交わしてきて、だからこそいまのMONOがやっている壮大でドラマティックな音楽に、彼らがどうやって辿り着いてきたのかを、ありありと知っている。

最初はMOGWAIとかEXPLOSION IN THE SKYみたいな、轟音インスト・ポスト・ロックと呼応するようなバンドだった。そして、バンドのスタートから日本よりも海外を視野に入れた活動をしてきた。確か最初のレコードのリリースはジョン・ゾーンのレーベル、tzadicから。

その時のインタヴューでGOTO氏が語った言葉は、僕は今でも一言一句覚えている。

「同じノイズを鳴らすのでも、喜びのノイズ、悲しみのノイズ、怒りのノイズ、祝福のノイズ、どれも違うんです」



そこから、何枚かのアルバムと度重なるアメリカツアーを経て、MONOというバンドの音楽性は、どんどんオリジナルなものになっていった。濁流のような感情のカタルシスをそのまま音像化するような、美しいものに洗練されていった。特にNYでオーケストラと一緒にやったコンサートと、そのアルバム『Holy Ground: NYC Live With The Wordless Music Orchestra』は、大きな転機になったと思う。この日見せた20人のオーケストラとの共演も、今のMONOの音楽を具現化する上では、必然的なものだったはずだ。

新作『For My Parents』もいち早く聴かせてもらったけれど、聴いてるうちに壮大な景色が浮かんでくるようなアルバム。素晴らしかった。

なんて言うか、NHKの大河ドラマの制作チームは絶対彼らをスカウトすべきだと思うんだよね。今のMONOの音楽を聴いていると、俯瞰で捉えた広がる大平原とか、そこを駆けていく大軍勢の騎馬隊とか、そういう情景がありありと浮かぶ。絶対似合うと思うんだ。

というか、アメリカでもどんどん評価を高めている彼らなだけに、ひょっとしたらハリウッドから声がかかってもおかしくないって本気で思ってる。映画やドラマのサウンドトラック、是非手がけて欲しい。それも大作であればあるほどいいと思う。最高の作品になる気がする。

新作の情報、置いておきます。


For My ParentsFor My Parents
(2012/08/22)
MONO

商品詳細を見る



■クガツハズカム 15:20〜 木道亭




MONO終わりでボードウォークを急いで木道亭へ。時間としては完全にかぶっている。16時。この時点で残り10分。というわけで最後の一曲“夜が明けたら”だけ観れた。きのこ帝国で聴いてるノイズの洪水とは違って、アコギ一本だと歌の透明感が伝わってくる。ちょっと鳥肌がたった。「今日観た中で一番よかったよ」と呟いてる人もいた。うわー、もっと見たかった。


■ROVO 16:45〜 ホワイトステージ






夕暮れのホワイトステージ。後ろまでぎっしりの満員状態。ひょっとして入場規制? すごい人気。というかこの日はずっとホワイトなので他のステージのことはよく知らないんだけど、全体的に人が多いということなのかな。

ROVOはいつも通り、踊りまくって昇天できるステージでした。実はあんまり記憶がない。約1時間があっという間。

■CARIBOU 18:35〜ホワイトステージ



大収穫。この人達、こんなによかったんだ。マニトバから改名した以降ぜんぜん追ってなくて、ほとんど前情報なしでライヴを観たんだけど、ほんとにびっくりした。最高。ざっくりと乱暴な表現をすると「バトルズ・ミーツ・レディオヘッド」。とか言ったら誰かに怒られるかな。まあいいや。

キーボードを弾いたり機械のマニュピレートをしたり、いろんなことをしながら歌うボーカル、やっぱりシンセや電子機材を担当するマルチプレイヤー、ドラム、ベースという4人編成。広いステージの真ん中に4人が向かい合わせで演奏する。

それが、エモーショナルな鋭さを持ったままどんどん上昇していって、極彩色の興奮に上り詰めるようなエレクトロ・ダンス・ミュージック。ホット・チップに近いファンクネスもあるけれど、もっとダイナミックで、もっと感動的。アトムス・フォー・ピースに近い感じもあるけど、もっとインディ・ダンスな手触りに近い。かなり変幻自在なアンサンブル。

それに、ボーカルの人の声が、ところどころトム・ヨークに似ていて。ちょっと線が細くて、でも情熱的な響き。それもよかった。最後の“Sun”って繰り返していく曲、最高でした。

CD買っちゃった。


■サカナクション 20:25〜 ホワイトステージ





始まる前からすみまでぎっしりの満員。期待感の高さを裏付ける開演前のざわざわ。ワールドミュージック的なビートがずっと鳴り続け、それが照明と同期して、単なるセットチェンジのBGMじゃなくて開演前のSEだと徐々にみんなが気づいていく。歓声。ステージに5人が姿をあらわす。5人が横一列に並びMacBookに向かうクラフトワーク・スタイルだ。そして、SEが途切れると同時にスタート。そして山口一郎がひとこと、「フジロックフェスティバル、サカナクション」。完璧! フジロックの場所でもサカナクションは自分たちらしい演出を繰り広げて、そして大勝利だったと思う。

もはや幕張メッセでプレイして、数々のフェスのトリをつとめる彼らだけど、フジロックのホワイトで、しかもCARIBOUとJUSTICEの間というスロットで登場するということは、彼らのキャリアの上でもすごく意味深いことのはずで、だからこそ気合の入ったライヴ。

セットリストは以下。

01.『バッハの旋律を夜に聴いたせいです。』
02.ホーリーダンス
03.夜の踊り子
04.インナーワールド
05.サンプル
06.僕と花
07.僕と花 (remix)
08.ネイティブダンサー
09.アルクアラウンド
10.アイデンティティ
11.ルーキー

3曲目の“夜の踊り子”のサビで大歓声が上がったときに、なんだか「ああ、勝ったな」って思った。8月29日にリリースされるニューシングルの表題曲。ZEPP ALIVEのツアーファイナルなどでは披露していたけれど、おそらくあそこに集まった人にとっては初めて聴くことになるはずの曲で、でもそのサビで熱狂のボルテージがあそこまで上がったっていうことは、曲の持つピュアな力を証明したことになったんじゃないか、と。

で、“僕と花”のシングルバージョンから続けてクラフトワーク・スタイルでのリミックスを披露した時も興味深かった。普段の場所で聴くとドラマ主題歌としてのシングル曲に対して、クラブ仕様のリミックスは実験的なサウンド――と捉えられると思う。でもあの場ではリミックスの方が断然お客さんの歓声が上がっていた。キャッチーだった。それって、ワンマンでも他のフェスでもなく、フジロックのホワイトステージという場所、アンダーワールドやベースメント・ジャックスなどなど数々の名演が行われた場所だという文脈だったからこそ起こったマジックだと思う。「すごいな」って素直に思った。

で、そこからの“ネイティブダンサー”“アルクアラウンド”“アイデンティティ”“ルーキー”固め打ちは、もうダメ押しにダメ押しを続けるような昇天状態。考えてみたら普段通りのライヴなんだけど、エンドルフィンが出まくってるような感覚は、あの場所ならではだと思う。

ホテルに帰ってツイートしたことにも書いたけど、あの場に居合わせたフジロッカーズにとって、記憶に強く残る、誰かに語り継ぎたくなるステージになったと思う。


■JUSITCE 22:25〜 





トリはジャスティス。OL KILLERに向かっていくので、途中まで。出たばっかりの新作EPがわりとユルい出来だったので、実は正直そんなに期待してなかったんだよねえ。でも、やっぱり格好よかった。

マーシャルアンプを積み上げて十字架のブースを中央に据えるセットは、今回も変わらず。初っ端から“civilization”“D.A.N.C.E”と、名曲連発。低音のブリっとした切れ味はさすが。後ろ髪を引かれながらレッドマーキーへ。


■OL KILLER 23:00〜 レッドマーキー



いやあ、格好よかった! DJ WILDPARTYが参加したDJユニットという事前情報だけ聞いてたけど、それがこんなにカラフルでごきげんなダンス・ミュージックをやるとは!という。


一曲目は“パラシュート”、途中でも“TANK!”を挟んだり、かなり大ネタ使いで大胆にぶち上げるワイパのDJに、“音楽人間国宝”((C)小出祐介)こと岡村靖幸が、好き放題に踊り、歌い、客を煽る。「フジロック、ベイベー!」。二回りも世代の違うこの二人、でも絶妙な組み合わせ。

フックアップした岡村靖幸の目利きの鋭さもさることながら、それに応えてこれだけの大舞台でパーティーメイクできるDJ WILDPARTYの肝の座り方もよかった。噂が噂を呼ぶって感じで、ノエル・ギャラガー終わりのお客さんがどんどん雪崩れ込んできていた。

次の電気グルーヴも観たかったし、深夜のオアシスで飲み明かしたかったけど、いろいろ抱えている仕事もあったりしたので、この日は帰宅。へとへと。


Fuji Rock Festival '12 1日目感想まとめ

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いやあ、楽しかったね、フジロック。3日間あんなに晴れたのは初めてだったと思います。


そういうわけで、フジロックの雑感をまとめてアップします。ほんとはツイッターでいろいろ呟こうと思ってたんだよなあ。でも会場ではほとんど電波が入らず。グリーンステージやオアシスだったらまだしも、ホワイトより奥に行くとほとんど圏外。僕の使ってたのはauだったんだけど、どうやらdocomoやソフトバンクも相当繋がりにくい状況だったみたい。


というわけで、「ツイートしようと思ったことをスマホのメモ帳に保存」→「ホテルに戻ってまとめてUP」という形式で書かれたのが、これです。




■ハンバートハンバート×COOL WISE MEN 13:40分〜 FIELD OF HEAVEN




「フジロック前までに必ず上げてくださいね!」と念を押された原稿〆切を抱えたまま来てしまった苗場。しょうがない。よくあること。というか、毎年そう? orz。というわけで、駐車場に止めた車に残って、とりあえず進められるところまで原稿を進めてからリストバンド交換列へ。例年以上の混雑。1時間くらい炎天下で並ぶ。やっぱ今年はチケットが売り切れただけあって、いつもとは違う様子。でもまあ、スマッシュの運営側のことを考えれば、きちんと儲かってよかったね、という感じ。ここ10年くらいずっと「今のフェス人気はバブルだから、きっといつか弾ける」と言われ続けてきて、でもこの状況なんだから、結局「フェスバブル」って言ってる人はどっか外側からそう「言いたい」だけなんだよな、ということを思ったりする。

というわけで、なんだかんだで会場に入ったのは13時過ぎ。ハンバートハンバート×COOL WISE MENは最後の一曲しか観れなかった。というか、正確に言うと木道亭に行って次のsuzumoku+航を待ってる間に、聴こえてきただけだった。で、その一曲が、”サザエさん一家”。それもサビのところの歌詞を「♪フジロック フジロック フジロックは愉快だな〜」と歌う。笑った。こういうの、いいよね。たぶんヘヴンでも喝采集めてただろうな。


■suzumoku + 航 14:40〜 木道亭 






というわけで、この日、最初に訪れたのはボードウォークの中にある木道亭。ここ、好きなんだよね。個人的にはフジのベストスポットだと思ってる。特にこの日みたいな暑い日は、森の中で、近い距離でステージでアクトを観れるというのは、すごくありがたいと思ってる。で、ここでこそ観れるいいライヴってのも多いんだよね。去年のpredawnもすごくよかった。

というわけで、suzumoku+航。ちょっと前にリリースされたアルバム『80/20 -Bronze-』でインタヴューをしたからってのもあるんだけど、そのナタリーでの取材で言ってた「近い距離」での強さがどう発揮されてるのかがすごく興味深かった。で、それがちゃんと発揮されてたと思う。

特に“僕らは人間だ”は、ちょっと鳥肌が立つくらいの出来だった。


■THA BLUE HERB 15:45〜 ホワイトステージ





フジは5年ぶり4回目の登場の出演。最初の出演は12年前らしい。BOSSのラップは何度もそれに触れてた。そういえば僕は、TBHのフジのステージの全て見ていたと思う。最初はレッドマーキーの深夜4時。終わったら、朝焼けの光が広がってた。その次も深夜。確か『LIFE STORY』を出した後。で、去年のクラムボンのグリーンステージ、「あかり from here」でゲストに登場したときは、ちょっと涙ぐむくらいの真に迫るパフォーマンスだった。

アルバム『TOTAL』をリリースしたばかりだからその内容に沿ったライヴになるかと思っていたら、全然違った。特別なセットだった。フジロックとTHA BLUE HERBは特別な「契」を持っていて、それを紐解いていくような商だった。

「俺はフジロッカー相手には強がらない」。そんなことも言ってた。

ラストは「未来は俺らの手の中」。これまでにBOSSが書いてきた言葉を散りばめながら、12年の旅をめぐる一つのストーリーを作っていくようなステージだった。

ただ、同時に、たぶん今のTHA BLUE HERBって、少し離れた客観的なところから見たら、冷めてしまう人もいるんだろうなとも、思った。知り合いで「説教くさい」って言ってる人もいたし。でも、僕はそれでもいいと思うんだよな。とにかく、あの内側にいると、BOSSの言葉のとんでもない熱量を浴びれるような体験をできるから。一緒に深いところまでたどり着けるような気がする、というか。

ギル・スコット・ヘレンは亡くなってしまったけれど、日本にはILL-BOSSTINOがいる。そんな感じ。


■BOOM BOOM SATELLITES 17:30〜 グリーンステージ





貫禄のステージ。まあ、ブンブンサテライツのライヴでそうじゃないものを観たことはないんだけど、やっぱり圧倒的。そして、彼らもフジロックのスペシャルなセットだった。

基本的に曲と曲をインタールードでつなげ、MCもほぼ無し。1曲目は新曲の"ANOTHE PERFECT DAY”、そして“Every moment I count”から”KICK IT OUT”を経て“DRESS LIKE AN ANGEL”まで、最近の曲からライヴの必殺曲、そして初期の楽曲までをつなげるベストセット的なセレクト。

一音一音に強靭な説得力があって、それにひたすら打ちのめされながら上がっていくような感じ。

あと、二人がフライングVを構える図はやっぱり何度見ても格好いいと思うなあ。


■苗場音楽突撃隊 19:30〜 苗場食堂



BEADY EYEは去年にサマソニで観た時にイマイチだったのでパスすると決めて、オアシスエリアで飯でも食おうと思ってきたときに始まったのが、苗場音楽突撃隊@苗場食堂。これがなかなかよかった。“太陽に吠えろ”のテーマ“などなど、絶対一度は耳にしたことのあるような鉄板のメロディを、ホーンセクションとパーカッションを従えたフルバンドのスタイルで引き倒す。メンツを見たら池畑潤二さんはじめ凄腕のミュージシャンが揃ってる。

お祭りバンド、かくあるべし!みたいな感じでした。


■ストーン・ローゼズ  21:30〜 グリーンステージ



グリーンステージ後方で見てました。大歓声。ぎっしりの人。一曲目“アイ・ワナ・ビー・アドアート”! 続いて“サリー・シナモン”! やっぱりテンション上がる。最高!

……と思ってたんだけど、そのうち「あれ?」って思い始めた。なんか、普通のロックバンドだなあって。曲はいいし、ハーモニーも気持ちいいし、懐かしいんだけど、なんか、もっと「とんでもないもの」だったんじゃなかったっけ?って。イアン・ブラウンのガナリ声の歌が音程外しまくりだったのはまあご愛嬌として、ジョン・スクワイアのギターも、マニのベースも、レニのドラムも、「うん、いいよね」という感じ。もっと「すげえ、すげえ!」ってなると思ってた。実は僕自身はストーン・ローゼズはリアルタイムで通ってなくて、ライヴを観るのは初めてだったりする。だからよく知らないんだけど、全盛期のローゼズって、こんなもんだったの?って感じ。'08年のマイブラの“ユー・メイド・ミー・リアライズ”の時に感じた「やっぱり化け物でした、すいません!」って感じと、どうしても比べちゃうんだよなあ。

これ、思い出補正が効かない、って感じなのかな。そんな、消化不良な思いを抱えたまま、“フールズ・ゴールド”あたりで切り上げてジェイムス・ブレイクへ。

■ジェイムス・ブレイク 22:25〜 ホワイトステージ





素晴らしかった。美しかったし、予想以上にフィジカルに「揺さぶられる」ステージだった。

ピアノを弾きながら歌うジェームス・ブレイク(意外にイケメン)と、ベーシスト、ドラマーの3人編成。バンドスタイル。オートチューンも勿論かかっているんだけど、アルバムでは加工されまくっていた声が、わりとそのままに近い形で届いてくる印象。

とにかく音がいい。というか、一つ一つの音が研ぎ澄まされていて、生で体験すると、何より歌の「凄み」のようなものが伝わってくる。

それを如実に感じたのがやっぱり“CMYK”から“リミット・トゥ・ユア・ラブ”。

ずむむむむーんという低音が服の裾をびりびりと揺らして、カカカカーンってハイハットが、じゃなかったスネアの音が響いて。緊迫感あるピアノと、丁寧な歌。繊細な歌が、響く。

「ポスト・ダブステップ」とかじゃなくて、新しいアーバン・ソウル・ミュージックの形だよなあ、とつくづく思う。つまりは圧倒的な「歌心」のアートフォーム。そういう感じ。この日のベスト・アクトでした。


というわけで、車に乗ってホテルに帰って就寝。バタンキュー。


FUJI ROCK 持ち物リスト(個人用)

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(※この記事はフジから帰宅後に書いてます)

考えてみたら、フジ出発前っていつもバタバタで、原稿の〆切抱えながら荷物のパッキングして、
そのせいで忘れ物したりして、いつも後悔するんだよなあ。
しかも毎年「フジロック 持ち物リスト」とかでググったりしているし。
ちゃんと記録に残しておこうと思いました。
下のリストはあくまで個人用です。

衣類+基本装備



  • チケットと駐車券
  • Tシャツもしくはカットソー4~5枚
  • パンツ、靴下 それぞれ4~5枚
  • ジーンズ2本、ハーフパンツ2本
  • 帽子
  • 眼鏡&コンタクトレンズ
  • サングラス
  • レインウェア上下
  • 軽めの長袖パーカー
  • 靴(防水のトレッキングシューズ)
  • カバン(リュックサック+ミニショルダー)
  • 折り畳み椅子
  • シートもしくはアルミマット

タイムテーブル




小物系


  • ジップロック S3枚(携帯、充電池、ガジェットを入れるもの)
  • 同 L3枚(長袖パーカーとタオルを入れるもの)
  • 防水ファイルケース(資料、タイムテーブルなど入れる)
  • メモ帳、筆記具
  • ヘッドライト
  • 乾電池(持っていくものに電池がちゃんと入ってるか確認、なければeneloop補充)
  • 防水スプレー

アメニティ系


  • ハンドタオル3~4枚
  • 歯磨き
  • 髭そり
  • 垢擦りタオル
  • 日焼け止め
  • 虫よけスプレー
  • 除菌ティッシュ
  • 常備薬、特にあせもや肌荒れ

熱さ対策グッズ系


  • アイスリュック+保冷剤
  • シャツクールスプレー
  • 冷やロン

ガジェット系


  • PC
  • カメラ
  • 充電コード各種
  • 電源タップ
  • 現地取材ある場合はICレコーダー

あると便利かも?


  • 水筒
  • カラピナ
  • 足の疲れとりシート
  • 携帯食(魚肉ソーセージが好み)


アジカン「リライト」とAKB48「ヘビーローテーション」から学ぶ、売れるメロディを書くための「たったひとつの冴えたやりかた」【追記あり】

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リライト
【特典生写真無し】ヘビーローテーション<Type-A>



ASIAN KUNG-FU GENERATION(=アジカン)の楽曲が持ってるメロディの特徴を追っていったら、「あれ? これロックバンドとかアイドルとかボカロとかジャンルに関係なく、日本における“売れる曲”を書くための黄金メソッドなんじゃない?」と気付いた、というお話です。

(ちなみに、この記事は以前書いた「アジカンの黄金律」についての話の続き。前回の記事はこちら:「アジカンと「バックビート問題」~武道館公演から見えた「黄金律」 
http://shiba710.blog34.fc2.com/blog-entry-502.html)


ちなみに、7月18日に発売になった『MUSICA』誌でも、ニューシングル「それでは、また明日」のレビューの中で、こんな風に書きました。


MUSICA (ムジカ) 2012年 08月号 [雑誌]MUSICA (ムジカ) 2012年 08月号 [雑誌]
(2012/07/17)


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気持ちいいほど“アジカンメソッド”が貫かれた、黄金律発動の一曲。その詳細を説明するのはこの文字数では到底足りないが、一つのキーは「歌メロがリズムを駆動している」ということ。イントロや中間部では裏拍(=バックビート)にグルーヴの重心が、しかしAメロやサビでは表拍(=ダウンビート)に重心がある。メロディの抑揚とゴッチの歌い回しがその運動性の変化を生み出し、それがポップネスに繋がっている。



『MUSICA』誌上では「その詳細を説明するのはこの文字数では到底足りないが〜」なんて書いてしまったので、ここでじっくり書こうと思ってます。そのために、参考になる比較対象がAKB48の“ヘビーローテーション”というわけ。


■ 2011年の「ランキング1位」の”リライト”と”ヘビーローテーション”。




では、なぜ、アジカンの“リライト”とAKB48の“ヘビーローテーション”なのか。お互いの代表曲というのもあるけれど、この2曲は、ともに「2011年のランキング1位」なのです。2011年、つまり去年のランキング。何のランキングかというと、

・ AKB48“ヘビーローテーション”=カラオケリクエスト曲ランキング1位。
・ アジカン“リライト”=高校の軽音楽部のバンドが文化祭でコピーした楽曲ランキング1位。

(※ ちなみにカラオケランキングはJOYSOUNDのランキング(こちら)、軽音楽部のコピー楽曲ランキングはミニコミ『Kids these days vol.2』(こちら)を参照しました。後者はライターの成松さんが実際に高校の文化祭に足で通って調べた「17校・173バンド・のべ540曲」からのランキングです。そもそも軽音楽部のバンドにコピーされた楽曲ランキングの全国的な統計なんてないので、前者と後者でサンプル数に多大な開きがあるのはご容赦を)

で、共に発売からはかなり時間が経ってます。アジカンの“リライト”は2004年のリリースだし、AKB48で言えば、2010年リリースだけどその後に“フライングゲット”や“Everyday、カチューシャ”など、売上枚数の上回る曲はいくつもリリースされてます。それでも、これらの曲が2011年に1位を記録している。そのことの意味はとても大きいわけで。

これは、つまり“ヘビーローテーション”はカラオケにくる老若男女に、“リライト”はバンドを組んだ学生にとっての「歌いたい曲ランキング1位」になっている、ということ。いまやオリコンランキングが「(複数枚購入を前提とした)CDパッケージの売れた枚数の順位」の指標でしかない昨今、よっぽど信頼に値する「ヒット曲の指標」のNo.1に輝いた2曲と言えるんじゃないのかな、と。

そして、僕がこの記事で言おうとしているのは、この“リライト”と“ヘビーローテーション”が、実はほぼ同じメロディの構造を持っている、ということなのです。


■売れるメロディ=サビ1拍目のアタマに向かって駆け上がるメロディ



“リライト”と“ヘビーローテーション”で見られる同じメロディの構造とは何か。「歌いたくなる曲1位」の2曲の共通点は何か? 結論からいうと、

サビ1拍目のアタマに向かって駆け上がるメロディ

なのです。いったい何のこっちゃと思う人、まずは動画を。





“リライト”のサビ「♪消して リライトして」は、前小節の4拍目(「♪消し」)から1拍目アタマ(「♪て〜」)、前小節の2拍目ウラ(「♪リライトし」)から1拍目アタマ(「♪て〜」)に音程が上がっていくメロディ。



“ヘビーローテーション”のサビ「♪I want you I need you」は、前小節の3拍目「♪I want」から1拍目アタマ「♪You〜」に音程が上がっていくメロディ。



どちらも同じ譜割りとメロディの抑揚を持っているわけだ。まあ解説しようとするとややこしくなっちゃうけど、ピンとこない人も「♪ I want you〜 リライトして〜」と口ずさんでみたら、なんとなく「あ、同じ!」とわかるんじゃないだろうか。


■ 実はボカロ曲にもあった「駆け上がるメロディ」



で、実はこの構造のメロディを持っている曲は、“リライト”と“ヘビーローテーション”だけじゃない。ボーカロイド楽曲として500万回再生という破格の再生回数を記録したハチの“マトリショカ”。アーティストとしてのデビュー作品『diolama』が大きくヒットした米津玄師がボカロPとして作った楽曲だ。この曲のサビも、そう。





サビの「♪あのね〜」が、同じくサビ前の3拍目ウラからサビ小節1拍目のアタマに向かって駆け上がるメロディになっている。

そして、黒うさPの「千本桜」。こちらも2011年9月の公開から380万回再生というモンスターヒット。





これも、「♪千本桜〜」の「♪せん〜」がサビ前の4拍目から入っている。そこからサビ小節1拍目のアタマに向かって駆け上がるメロディの動き方をしている。

というわけで、ボカロ曲においてもトップクラスの2曲に、このメロディの構造が現れている。アイドル、ロックバンド、ボーカロイド、それぞれジャンルや聴いている人の層は違えど、ヒットする曲には同じメロディの構造が現れているわけだ。

■「1拍目アタマに向かって駆け上がるメロディ」をメソッド化したアジカン



で、僕が「黄金律」と言っているのは、「1拍目のアタマに向かって駆け上がるメロディ」を、他のアーティストや作曲家に比べ、アジカンのメインソングライターである後藤正文は明確に意識してメソッドとして用いているから。実際、彼らの楽曲、特にシングルカットされた楽曲にはこのメロディの構造を持ったものが、非常に多い。サビに限らず、いろんなところでこれが使われている。たとえば”君の街まで”などもそう。


そしてそれは、決して初期の彼らにだけに見られる特徴でもない。最近で言えば“マーチングバンド”も、そして新曲“それでは、また明日”もそう。

「♪彼が求めたのは あの娘が流したのは 君が嘆いたのは ほかならぬ今日だ 」
「♪誰かが隠したような 僕らがなくしたような 何事もない日々を取り戻せそうか」

ちょっと変則的だけれど、サビのメロディの繰り返しの2番目「♪あの娘が〜」は、4拍目のウラから1拍目のアタマに駆け上がるメロディ。ちなみに、この「4拍目のウラから入る」というのも”アジカンメソッド”の大事な要素の一つ。他の曲でも多々出てきます。そして「♪ほかならぬ今日だ」という部分。こちらも1拍目のアタマに駆け上がるメロディになってます。


ちなみに、この”それでは、また明日”というのは劇場版『NARUTO』のタイアップがついたナンバーで、アジカンにとっての勝負曲とも言える楽曲。こういう、ここぞという楽曲では「必殺のメロディ」を惜しげもなく使ってくるのが、「黄金律」と僕が思う所以なのです。

ちなみに、この「1拍目アタマに駆け上がるメロディ」が「売れるメロディ」なのは、洋楽や邦楽も超えたものなのか、時代を超えた普遍性を持つ嗜好なのか。それを今は探っているところなんだけれど、今のところはどうも00年代以降のJ-POPに特有の現象という気がしています。もしそれが事実ならば、後藤正文というソングライターは、00年代以降のJ-POP一つのフォーマットを作った功績がある、というふうにも言えるかも。

つまり。

最近では『THE FUTURE TIMES』の発行や、様々な場所でのスポークスマン的な活動が目立っているけれど、僕は何よりも、後藤正文という人は日本のロックシーンが誇る「最強のメロディーメイカー」だと思っているのです。

【追記】

はてなブックマークのコメントやTwitterで反論もらいました。アウフタクト(弱起)の典型例なのではないか、と(→「アウフタクトとは - 音楽用語 Weblio辞書」)考えてみたら”川の流れのように”もそうでした。なので上記のように”発明”とか”フォーマットを作った”とか言うと、ちょっと語弊がありますね。反省。





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『おおかみこどもの雨と雪』が描いた母性について

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『おおかみこどもの雨と雪』を観た。






(以下、ネタバレ要素は含んでいませんが、作品に関して全く情報を持たずに鑑賞したいという方は気をつけてご覧ください)


なんだか、とても温かいものを受け取ったような感覚。それが第一印象。そして、感服したのは王道のエンタテインメントとしての堂々とした完成度だった。細田守監督がどこまで意識したかはわからないけれど、『となりのトトロ』や『もののけ姫』に匹敵するような、後々まできっと日本人の文化的DNAに刻み込まれるような傑作だと思う。

こないだの『サマーウォーズ』がそうだったように、映画はきっといずれテレビで繰り返し、繰り返し放送されるだろう。その時その時の親子が、“おおかみこども”に出会うだろう。でも、この映画を映画館で観るべき理由が、一つだけある。

それは、このお話がどこか遠い国のファンタジーではなく、2012年の「今、ここ」を舞台にしている、ということ。

「人間であり、オオカミでもある“おおかみこども”の成長や自立、子育てに奮闘する母の13年間を丁寧に描いた作品」



それが、『おおかみこどもの雨と雪』のストーリーだ。気になるのは、その「13年」が一体いつからいつまでの「13年」なのか、ということ。その答えは作中には明示されてはいない。けれど、あるアイテムに着目して注意深く見ると、それが大体いつのことであるのか推測できる。詳しくは映画を観た人が発見してほしいけれど、少なくとも、この映画はどこか遠い国のお伽話ではない。『コクリコ坂から』や『三丁目の夕日』のような「かつての(幻想の)日本」でもない。

細田守監督は、『サマーウォーズ』でも、劇中に登場する「上田わっしょい」という祭りの開催年月日を「平成22年7月31日」と、わざわざ記していた。おそらく、監督は意識的に映画に時代性を焼き付けている。


そして、主人公の花は“おおかみこども”をどう育てたか。大事な台詞が、予告編に取り上げられている。



「みんながオオカミを嫌っても、おかあさんだけは、オオカミの味方だから」


この言葉が、映画をつらぬく「母性」を象徴している。世界中を敵に回しても、最後まで子供の側に立つのが母だ、という。子供にとっての「戻ってこれる場所」が母親なのだ、という。

そして、花の母親としてのスタンスは、一時代前にあったような「いい学校に進んで、いい会社に入って〜」というようなものとは対極だ。子供の進むべき道や、子供にとっての幸せを、母親である自分が決めたり、押し付けたりするようなことはない。それが母としてあるべき姿なんだと、花は物語を通して気づいていく。

“おおかみこども”はあくまで架空のキャラクターだけれど、それを一つのメタファとして捉えると、いろんな人が「これは自分の物語だ」と思いながら映画を観ることができると思う。そのことが、この作品をとても感動的なものにしている。


そして何より素晴らしいのが高木正勝さんの音楽と、アン・サリーさんが歌う主題歌「おかあさんの唄」。劇中に流れる音楽の包み込むような柔らかさと優しさが、そしてアン・サリーの温かい歌声が、「花=宮崎あおい」の物語であった映画を、あまねく「おかあさん」の物語にしていると思う。



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