日々の音色とことば:

移転しました。新URLはhttp://shiba710.hateblo.jp/です。ここは更新されませんがアーカイブを置いておきます
kokuchi.jpg

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DeNAの音楽アプリ「Groovy」の可能性

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http://welcome.gr-oo-vy.com



■「Groovy」は「定額型サービス」じゃなかった。



DeNAの新サービス「Groovy」の記者発表会に行ってきました。

招待いただいたきっかけは、ドリルスピンに寄稿したコラム〈「聴き放題」だけでは音楽ストリーミングサービスが成功しない理由〉が、DeNAのサービス開発者の方の目に止まったこと。

第55回:「聴き放題」だけでは音楽ストリーミングサービスが成功しない理由 | DrillSpin Column(ドリルスピン・コラム)
http://www.drillspin.com/articles/view/571


ありがたい。でも、あそこで書いた記事には明らかに穴があったんですよ。

そのことが、発表会に行ってわかった。

原稿を書いてる段階ではティーザーサイトが公開されているだけで、「どうやらDeNAが新しい音楽サービスを始めるらしい」ということはわかっても、それ以上のことが何もわからなかったわけです。

というわけで、あの記事では「日本の主な定額制音楽配信サービス」の中に「Groovy」を入れちゃってたわけですが、結果から言うと、あれ、全く的外れでした。Groovyはサブスクリプション型の音楽配信サービスじゃなかった。

「Groovy」は、「レコチョクbest」とか「music unlimited」と比べてどうのこうの〜、みたいな聴き放題型のサービスじゃなかったわけです。コンセプトが全然違ってた。端的にいえば、音楽プレイヤーアプリでした。クラウド上の音楽データではなく、基本的にはスマートフォンに保存した音楽を再生するアプリ。

だったら何も新しいことないじゃん? そう感じる人はいると思う。僕も最初はそう思った。でも話を聞くうちに、これはiPhoneの標準アプリには無かった機能を持つ音楽プレイヤーなんだな、ということがわかってきた。そして、僕があの記事で言いたかったことと通じ合うコンセプトを持ったサービスなんじゃないかと感じた。いいんじゃない? これ。期待度高いです。

■「好みの曲が集まる」仕組みとは






Groovyのキャッチコピーは「好みの曲がつぎつぎ集まる音楽プレイヤー」。アプリの特徴は3つ。

1. スマートフォン上に保存した音楽を再生すると、自動で歌詞やジャケ写が表示される
2. 「ミュージック・インタレストグラフ」機能で、音楽の趣味が同じ人とコミュニケーションできたり、好みの楽曲を知ることができる。
3. 45秒の無料試聴、1曲5円程度の「プレイチケット」でのフル視聴、「Groovy Store」での高音質ダウンロード配信というアラカルト配信サービスが用意されている。

まず「便利だな」と思ったのは、1の「歌詞やジャケ写が自動で表示される」という機能。地味に見えるかもしれないけど、音楽好きにとってはこれはありがたい。もちろん、iPhoneの標準ミュージックプレイヤーでもiTUNESで登録しておけばジャケ写は表示できるし、androidでも歌詞表示機能を持ったサードパーティ製のアプリはある。なので、ここに関していえば、実のところを言えば、特に目新しい機能なわけじゃない。



なので、やっぱり興味深いのは、2のミュージック・インタレストグラフ機能。たぶんここが「Groovy」のキモなんだと思う。

これはいわゆるSNS的な機能ということなんだけど、かなりハードル低く使えるようになっている。わざわざ知り合いを探したり好きな曲をアピールしなくてもいいみたい。まずはユーザー登録してスマートフォンのライブラリに保存した楽曲をこのアプリで再生するだけ。そうすると、その再生情報をもとに自分がどういうタイプの音楽を聴いてるのか、どんなアーティストのファンなのかを自動的に判別する(自分で好きなアーティストやジャンルを登録することもできる)。

そうすると、そこから自分と似た趣味を持つ他のユーザーを探すことができる。フォローすれば、その人が今どんな楽曲を聴いてるかをリアルタイムで知ることができたり、曲やアーティストについてチャットで会話できたり、オススメを教えてもらえたりする。そういう情報がフィード画面にどんどん流れてくる。


そこで、3の配信サービスが活きてくる。アプリ内で自分がライブラリに持ってない曲をタッチすると配信サービスに移動して、45秒の無料視聴、「プレイチケット」によるフル視聴、ダウンロード購入のいずれかを選べるという仕組み。

つまり、「Groovy」のキーは、単なる音楽配信サービスというよりも、「趣味の同じ人を通じて、今まで知らなかった自分の好みの曲を知ることができる仕組み」にある。「ミュージック・インタレストグラフ」というのは、twitterやFacebookのような「知り合いや友達を軸にしたつながり」ではなく、「音楽への興味を軸にしたつながり」を構築するために設計されている。そして、それが「自分好みの曲との出会える」きっかけになる。

僕はあの記事で

1. ユーザーとユーザーが音楽を通じてコミュニケーションする環境、「ねえ、これ知ってる?」という会話のきっかけになる機能が、サービスの中に内包されている。
2. そのために、無料でユーザーを集めて有料へと誘導するフリーミアムのモデルが構築されている。
3. 単なるジャンル別や年代別のリコメンドではなく、人を通じて新しい音楽と出会うことのできるメディアとしての機能を備えている。

僕は今のところ、この3点がサブスクリプション型音楽サービスの「成功モデル」の条件だと考えている。そして、そういうサービスが普及して根付けば、音楽のシーンやカルチャー自体も大きく変わると思っている。



と書いた。「Groovy」はサブスクリプション型音楽サービスではなかったけれど、この1〜3のポイントを上手く突いたサービスなんじゃない?というのが、僕のファースト・インプレッション。なかなか好感度大です。ひょっとして、iTUNESの「Ping」はこんな風に作れば上手くいったかもしれないのにね、って思ったりして。

まずはAndroidからアプリ提供開始ということで、Google Playではすでにダウンロードが始まってるみたい。iOSでもじきに提供予定ということ。Androidは音楽プレイヤーのデファクトスタンダードがないから、そういう意味でもありがたいアプリと言えるかも。


好みの曲がつぎつぎ集まる音楽プレイヤー Groovy - Google Play の Android アプリ


とりあえずandroid版をダウンロードしてみました。本格的に使ってみるのはiOS版が出てからかな。

あと、僕のライブラリの中には「聴いてることを秘密にしておきたい、他人に知らせたくない」タイプの曲もあるので、そういうのがダダ漏れにならないよう「非公開プレイリスト」みたいな機能は欲しいかなーって個人的には思ったりします。

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続・音楽の快楽をどう語るか ― AKB48の100曲とアウフタクトの話

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ダ・ヴィンチ×PLANETS 文化時評アーカイブス 2012-2013 (ダ・ヴィンチブックス)


■総合的な体験の中で楽曲の作用を語る、ということ



前回の記事「音楽の快楽をどう語るか ― 書評『日本文化の論点』とその先の話」を公開した後に、宇野常寛さん本人からコメントいただきました。









「ビビりました?」

いやー、ビビった。超ビビった。読みなおして、事実誤認があった部分と書き方が乱暴になっていたところ、誤解を生みそうなところは修正しました。書いてる方には全然そんなつもりはなかったんだけど、最初に書いたバージョンのものだと「宇野常寛はAKB48のシステムと人間ばっかり語ってて音楽そのものには興味がない、キリッ!」みたいなことを言ってるようにもとれる文章だったので。

「ケンカ売ってますよね、それだと完全に」

そんなつもりはないのよ! バトルとか論争とか、できるだけ避けていきたいです。メンタル弱いし。

「弱いですよね」

うん。最近、自分でもドヤ顔してる感あるなーって思うので、調子のらないよう気をつけていきたいです。あと、そもそも僕にとっては、『PLANETS』とか『文化時評アーカイブス』の座談会に参加して、「アイドルやボカロ、V系などについては音〈だけ〉を語ってもしょうがない、総合的な体験の中で楽曲の作用を語るべき」という問題意識を共有して、そこで「なるほどなー」と思って、そこから個人的にもいろいろ考えが広がったり深まったりした経緯があるので。この手の話題で噛みつく理由がない。

「環境分析への批難をしてるつもりもない、と」

ないない。あ、あと別の指摘で『AKB48白熱論争』の4人は「リクエストアワーセットリストベスト100」の特番ではシステムとか人間じゃなくて楽曲そのものについて語りまくってましたよ、っていうのもありました。それは観てなかった。

「いろいろワキが甘かったわけですね」

いやー、ホントに失礼しました。ついでに今回、kenzeeさんとかレジーさんのブログ文体のスタイルも真似てみたけど、これ、相当難しい! 慣れないモノに手をだすのはいけないね。元に戻します。

■「リクアワ」から見えたAKB48の必勝パターン



まあ、そういうわけで。前回の記事で結局何が言いたかったかっていうと、宇野常寛さんは『リトル・ピープルの時代』の中に収録されてる原稿の中で、AKB48のシステムへの論考から歌詞の分析に踏み込んでるわけだけど、その手法を“鳴ってる音”の分析に応用したら面白いし、まだ誰もやってないんじゃないか?ということ。もちろん僕は音楽理論についてはきちんと勉強してないシロウトなんだけど、それでも頑張ってやってみよう、と。『文化時評アーカイブス』の座談会に呼ばれた時に、真っ先に持っていこうと思いついたネタがそれでした。

本の中で自分が喋った箇所から引用します。

まさにAKB48の楽曲はリズムが機能的にできてますね。特徴的なのが、サビの冒頭のメロディー。音楽用語でアウフタクトと言うんですが、前の小説の途中からサビのメロディーが始まる曲がとても多い。しかも、そのほとんどがサビの1拍目に向かって駆け上がっていく形をとっている。それが最も顕著に現れている曲が『ヘビーローテーション』です。あれだけの曲がある中で『ヘビーローテーション』が不動の地位を占めているのには音楽的な理由が必ずあるはずで、それを説明する一つのキーワードがアウフタクトなんです。





アウフタクトとは、日本語で言うと「弱起」。 “ヘビーローテーション”のサビの歌詞は「♪I want you I need you」だけど、コード進行を追っていくと、実際にサビのヴァースが始まるのは「♪You〜」から。「♪I want」の部分は、前の小節(イントロやBメロ)の3拍目から始まっている。そこからサビ頭の1拍目「♪You〜」に向けて、音程が上がっていく。それが「サビの1拍目に向かって駆け上がっていく」ということ。



ただ、前の小説の途中からサビのメロディーが始まる曲が多いというのは、必ずしもAKB48に限った話じゃないです。歌謡曲やJ-POP全般にも、サビに「1拍目に向かって駆け上がるメロディ」を持った曲は沢山ある。

たとえば、美空ひばり「川の流れのように」の「♪(あ)あ〜」や、サザンオールスターズ「TSUNAMI」の「♪(みつめ)あうと〜」など、レミオロメン「粉雪」の「♪(こな)ぁ〜ゆき〜」なんかもそうで。


こういうタイプのメロディがAKB48の楽曲においてどういう位置づけにあるのか、調べてみたわけです。対象として相応しいと思ったのは「リクエストアワーセットリストベスト100」。ここの順位はファンが楽曲について投票するわけで、シングルCDの売り上げ順に並べるより全然確かなランキングになっている。で、実際に聴いてみたら、なかなかおもしろい発見があった。以下も上記の『文化時評アーカイブス』で話したこと。

先日の「リクエストアワーセットリストベスト100」では、選ばれた100曲のうち45曲が『ヘビーローテーション』と同じ、サビ1拍目に向かって駆け上がるメロディーの構造を持つ曲でした。逆にサビの1拍目に向かってメロディーが降りてくる数少ない曲のうちの一つが『上からマリコ』なのも興味深い。どちらにしろ、AKB48の楽曲は、メロディーの動き方で楽曲のノリ方を規定しているんです。つまり、ロックやファンクやR&Bではバックビートと言われる「2拍・4拍」を意識するとノリやすいけれど、AKB48の楽曲は1拍目を強烈に意識させる。



そう。数日かけて100曲全部ぶっ通しで聴いたんですよ! 上位の方の曲は知ってる曲も多かったけど、さすがに下の方は初めて聴く曲も多かった。で、やっぱり痛感したのはAKB48の曲は特殊だ、っていうこと。あれだけ沢山の人が作曲に関わっているにもかかわらず、曲調は驚くほど一貫している。“ルール”や“枠組み”の存在を意識させる。そこのベースになっているのは80年代からの歌謡曲、アイドルポップの王道ではあるんだけど、やっぱりそれだけじゃなくて、ライヴや劇場で盛り上がる、一体感を得るためのフックがそこかしこに仕込まれている。その一つが「メロディーの動き方でリズムを規定している」ってことなんだと思う。

秋元康の歌詞がそれとどう呼応しているかは、正直、わからない。でも、僕は『上からマリコ』の「♪上から〜」のところが、メロディーも上から降りてくる形になってるのに気付いた時には「ぬおーっ! こんな仕掛けが!」ってビビリましたよ。

『文化時評アーカイブス 2012-2013』では、そこからPerfume、千本桜、ゴールデンボンバー、EXILE、江南スタイルと、「リズムの快楽」を一つのキーポイントにした話が進んでいきます。さやわかさん、藤谷千明さん、佐藤譲さんと、司会の宇野常寛さん含めて切れ味するどい面々のトークが超面白いので、是非。


ダ・ヴィンチ×PLANETS 文化時評アーカイブス 2012-2013 (ダ・ヴィンチブックス)ダ・ヴィンチ×PLANETS 文化時評アーカイブス 2012-2013 (ダ・ヴィンチブックス)
(2013/03/15)
宇野常寛、青山裕企 他

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ちなみに以下は100曲聴きながら僕がとったメモ。拍やメロディの動き方を取り間違えてるところもあるかもしれないので「ちげーよバカ」と思った人がいたらごめんなさい。

1位 AKB48「走れ!ペンギン」 サビ1拍目から
2位 AKB48「奇跡は間に合わない」 サビ前4拍目から(上昇型アウフタクト)
3位 AKB48「上からマリコ」 サビ前2拍目から(下降形アウフタクト)
4位 AKB48「ヘビーローテーション」 サビ前3拍目から(上昇型アウフタクト)
5位 AKB48「虫のバラード」 6/8拍子 サビ前5拍目から(上昇型アウフタクト)
6位 AKB48「愛しきナターシャ」 サビ1拍目から
7位 AKB48「チームB推し」 サビ1拍目
8位 AKB48「夜風の仕業」6/8拍子 サビ前5拍目から(上昇型アウフタクト)
9位 AKB48「夢の河」 サビ前4拍目裏から(上昇型アウフタクト)
10位 AKB48「泣きながら微笑んで」サビ前3拍目裏から(上昇型アウフタクト)
11位 AKB48「重力シンパシー」 サビ前3拍目裏から(V字型アウフタクト)
12位 AKB48「ファースト・ラビット」 サビ前2拍目裏から(山型アウフタクト)
13位 SKE48「狼とプライド」 サビ1拍目
14位 AKB48「ギンガムチェック」 サビ前4拍目裏から(上昇型アウフタクト)
15位 SKE48「枯葉のステーション」 サビ1拍目
16位 AKB48「UZA」サビ前3拍目裏から(上昇型アウフタクト)
17位 AKB48「君のことが好きだから」サビ前4拍目裏から(上昇型アウフタクト)
18位 SDN48「孤独なランナー」 サビ2拍目から
19位 AKB48「ハート型ウイルス」 サビ1拍目から
20位 AKB48「アボガドじゃね~し…」 サビ前4拍目から(上昇型アウフタクト)
21位 NMB48「北川謙二」 サビ1拍目から
22位 SKE48「思い出以上」 サビ1拍目裏から
23位 AKB48「初日」 サビ前2拍目から(山型アウフタクト)
24位 AKB48「純情主義」 サビ前4拍目から(上昇型アウフタクト)
25位 AKB48「プラスティックの唇」 サビ前4拍目から(上昇型アウフタクト)
26位 AKB48「抱きしめちゃいけない」 サビ前4拍目から(上昇型アウフタクト)
27位 AKB48「てもでもの涙」 サビ前3拍目から(上昇型アウフタクト)
28位 NMB48「青春のラップタイム」 サビ1拍目から (サビ前に掛け声あり)
29位 NMB48「わるきー」 サビ前3拍目から(上昇型アウフタクト)
30位 AKB48「言い訳Maybe」 サビ前3拍目から(上昇型アウフタクト)
31位 AKB48「ぐぐたすの空」 サビ前4拍目から(上昇型アウフタクト)
32位 AKB48「お手上げララバイ」 サビ1拍目から
33位 NMB48「ナギイチ」 サビ1拍目から
34位 AKB48「真夏のSounds good !」 サビ前3拍目から(上昇型アウフタクト)
35位 SKE48「片想いFinally」 サビ1拍目から
36位 AKB48「Bird」 サビ前3拍目から(上昇型アウフタクト)
37位 AKB48「愛しさのアクセル」 サビ前4拍目裏から(上昇型アウフタクト)
38位 HKT48「HKT48」 サビ前2拍目裏から(V字型アウフタクト)
39位 AKB48「くるくるぱー」サビ前2拍目裏から(上昇型アウフタクト)
40位 NMB48「ジャングルジム」サビ1拍目から
41位 AKB48「思い出のほとんど」サビ前4拍目から(上昇型アウフタクト)
42位 SKE48「羽豆岬」 サビ2拍目から
43位 AKB48「Pioneer」 サビ前3拍目裏から(上昇型アウフタクト)
44位 SKE48「みつばちガール」 サビ1拍目から
45位 AKB48「スキャンダラスに行こう!」 サビ1拍目から
46位 AKB48「GIVE ME FIVE!」 サビ前3拍目から(上昇型アウフタクト)
47位 AKB48「Everyday、カチューシャ」 サビ前4拍目から(上昇型アウフタクト)
48位 AKB48「RESET」サビ前3拍目から(山型アウフタクト)
49位 AKB48「純愛のクレッシェンド」サビ前1拍目裏から(山型アウフタクト)
50位 AKB48「大声ダイヤモンド」 サビ1拍目から
51位 AKB48「Show fight !」 サビ1拍目から
52位 AKB48「逆転王子様」 サビ1拍目から
53位 AKB48「Choose me!」サビ前3拍目裏から(上昇型アウフタクト)
54位 AKB48「フライングゲット」 サビ1拍目から
55位 AKB48「MARIA」 サビ前4拍目から(上昇型アウフタクト) ※サビ前変拍子
56位 AKB48「君のc/w」 サビ前4拍目裏から(上昇型アウフタクト)
57位 AKB48「ドレミファ音痴」サビ前3拍目から(上昇型アウフタクト)
58位 AKB48「残念少女」サビ前3拍目裏から(上昇型アウフタクト)
59位 SKE48「フィンランド・ミラクル」サビ1拍目から
60位 SKE48「恋を語る詩人になれなくて」サビ前4拍目ウラから(上昇型アウフタクト)
61位 AKB48「夕陽を見ているか?」16ビート サビ前3拍目から(下降形アウフタクト)
62位 AKB48「キャンディー」 サビ前4拍目から(上昇型アウフタクト)
63位 AKB48「Only today」 スカ サビ前3拍目ウラから(上昇型アウフタクト)
64位 AKB48「桜の花びらたち」 サビ前4拍目ウラから(上昇型アウフタクト)
65位 SKE48「クロス」 サビ1拍目から
66位 SKE48「お待たせSet list」 サビ前3拍目から(下降形アウフタクト)
67位 AKB48「なんてボヘミアン」 サビ1拍目から
68位 AKB48「彼女になれますか?」 サビ前2拍目ウラから(上昇型アウフタクト)
69位 AKB48「エンドロール」サビ1拍目から
70位 SKE48「TWO ROSES」サビ前3拍目から(下降形アウフタクト)
71位 SKE48「アイシテラブル!」サビ前2拍目から(下降形アウフタクト)
72位 AKB48「嵐の夜には」サビ前2拍目から(山型アウフタクト)
73位 SKE48「キスだって左利き」サビ前3拍目から(下降形アウフタクト)
74位 AKB48「正義の味方じゃないヒーロー」 サビ前3拍目から(上昇型アウフタクト)
75位 SKE48「ウィンブルドンへ連れて行って」サビ1拍目から
76位 AKB48「抱きしめられたら」16ビート サビ前3拍目から(V字型アウフタクト)
77位 AKB48「風は吹いている」 16ビート サビ1拍目ウラから
78位 AKB48「口移しのチョコレート」サビ前2拍目から(平板型アウフタクト)
79位 AKB48「天使のしっぽ」 サビ前2拍目から(上昇型アウフタクト)
80位 AKB48「ポニーテールとシュシュ」 サビ1拍目から
81位 AKB48「Beginner」 サビ前3拍目から(上昇型アウフタクト)
82位 AKB48「炎上路線」 サビ前3拍目ウラから(上昇型アウフタクト)
83位 AKB48「RIVER」サビ前2拍目から(山型アウフタクト)
84位 AKB48「支え」サビ前3拍目ウラから(上昇型アウフタクト)
85位 AKB48「心の端のソファー」サビ1拍目から
86位 NMB48「オーマイガー!」サビ前2拍目から(上昇型アウフタクト)
87位 NMB48「結晶」サビ前3拍目から(上昇型アウフタクト)
88位 AKB48「少女たちよ」1拍目から
89位 AKB48「君と僕の関係」1拍目から
90位 SKE48「パレオはエメラルド」1拍目から
91位 SKE48「眼差しサヨナラ」2拍目から
92位 NMB48「星空のキャラバン」サビ前3拍目ウラから(上昇型アウフタクト)
93位 AKB48「呼び捨てファンタジー」1拍目から
94位 AKB48「片思いの対角線」サビ前2拍目から(山型アウフタクト)
95位 AKB48「次のSeason」サビ前3拍目から(上昇型アウフタクト)
96位 AKB48「偶然の十字路」サビ1拍目から
97位 AKB48「バッチコイK!」サビ1拍目から
98位 AKB48「草原の奇跡」サビ前3拍目ウラから(下降形アウフタクト)
99位 AKB48「僕のYELL」サビ前4拍目ウラから(上昇型アウフタクト)
100位 SKE48「ごめんね、SUMMER」サビ前2拍目ウラから(山型アウフタクト)


まとめてみました。
「リクエストアワーセットリストベスト100」のサビメロ分析


音楽の快楽をどう語るか ― 書評『日本文化の論点』とその先の話

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日本文化の論点 (ちくま新書)

(※追記修正しました)


宇野常寛さんの新著『日本文化の論点』を読みました。


【目次】
序章 〈夜の世界〉から〈昼の世界〉へ
論点1 クール・ジャパノロジーの二段階論――集合知と日本的想像力
論点2 地理と文化のあたらしい関係――東京とインターネット
論点3 音楽消費とコンテンツの「価値」
論点4 情報化とテキスト・コミュニケーションのゆくえ
論点5 ファンタジーの作用する場所
論点6 日本文化最大の論点
終章 〈夜の世界〉から〈昼の世界〉を変えていくために
あとがき
付録 『日本文化の論点』を読むキーワード

内容(「BOOK」データベースより)
情報化の進行は、二〇世紀的な旧来の文化論を過去のものにした―。本書は情報化と日本的想像力の生む「新たな人間像」を紐解きながら、日本の今とこれからを描きだす。私たちは今、何を欲望し、何に魅せられ、何を想像/創造しているのか。私たちの文化と社会はこれからどこへ向かうのか。ポップカルチャーの分析から、人間と情報、人間と記号、そして人間と社会との新しい関係を説く、渾身の現代文化論。




本の内容自体は、ここのところ宇野常寛さんが語っていることを、コンパクトに、わかりやすい語り口でまとめてみましたという感じ。これを入り口に『PLANETS vol.8』を読んだりすれば、カルチャーについて語ることが社会について語ることにそのまま敷衍するというその姿勢が伝わる。

amazonのレヴューでは「現代日本文化最大の論点=AKB48」としている本の構成に批判が集まってたりする。まあ、そう思う人が多いのは当然だよなあ、とも思う。共感できない人、気に入らない人が沢山いるのは当然のこと。『PLANETS vol.8』や同書にある「夜の世界と昼の世界」という二項対立は、明確に仮想敵を作るやり方だしね。

僕のスタンスとしては、以下の記事で書いたとおり、個人的に好きか嫌いかは別にして、AKB48について語ることが日本社会について語ることに敷衍するということには、基本的に「そうだよなあ」と思っている。

AKB48峯岸みなみを坊主頭にさせたのは誰か – 日々の音色とことば:
http://shiba710.blog34.fc2.com/blog-entry-534.html

ただ、この『日本文化の論点』の中で、付け加えたいことがあると思ったのは〈論点3 音楽消費とコンテンツの「価値」〉という箇所。

そこには、僕自身がここ数年考え続けていることとリンクする指摘がある。

それは何かというと、「音楽の快楽をどう語るか?」ということ。

もはや改めて語るまでもないことだけれど、ここ10数年で音楽の環境を巡る状況は大きく変わっている。それはCDだ配信だ、いやいや聴き放題のストリーミングだみたいな、ビジネスモデルだけの問題じゃない。インターネットとソーシャルネットワークの普及と発達で、カルチャーのあり方自体が、本質的に変わってきている。

簡単に言うと、音楽を楽しむという体験のなかにおいて「聴く」ことではなく「参加する」ことのパーセンテージが上がっていて、それがパッケージの存在意義を揺るがせている。

で、それは、音楽だけじゃなくて他ジャンルのカルチャーにも同時並行的に起こっていることでもある。『日本文化の論点』にもこう指摘されている。

単純に考えて、ここ一〇年余りの情報化の進行は人間と「言葉」との関係を大きく書き換えています。デジタル化で「紙の本」というものの存在意義が大きく揺らいでいるのはもちろんのことですが、僕はもっと本質的な変化が現代には起こっていると考えています。現代における情報化の進行は人類の文化そのものを大きく変化させようとしているはずです。
『日本文化の論点』 論点4「情報化とテキスト・コミュニケーションのゆくえ」



で、そういう情報環境の変化を背景に、アイドルやボカロなど、いわゆる「キャラクター的音楽」の拡大と隆盛が起こっていると、本書では指摘されている。

情報環境の変化は「聴く」という体験を大きく変えている。そして人間と音楽の関係性をも大きく書き換えている。こうしたキャラクター的音楽の存在感の爆発的拡大は、この変化を背景にしているものです。


ここはすごく同意。

なので、音楽の批評のあり方も、当然変化してきている。バンドやアーティストの自意識に寄り添ったり、曲の内側に込められたメッセージや物語性を読み解いたりするだけで、音楽の内実を語ったことにはならないよね、ということは常日頃思っていたりすることの一つ。

アイドルやV系バンドの楽曲だけを単体で批評していい/悪いを論じることにほとんど意味はない。この種の楽曲はアイドルやバンドメンバーのキャラクターを消費する総合的な体験の一部でしかなく、だとすると楽曲がその体験の中でどう作用しているのかを論じるという視点や、そのアイドルを応援する(消費する)という総合的な体験を論じるという視点がないと意味がないことになる。同じことがアニメソングやボーカロイドの楽曲にも言える。



で、上記の箇所に続けて、アイドルやV系バンドの楽曲を「従来の音楽批評の手法で論じることにはほとんど意味がないのではないかと思います」と、宇野常寛さんは言う。ただし、そこに関しては僕と宇野常寛さんの立場は異なる。

もちろん、この手の楽曲について、鳴ってる「音」だけをとりあげて面白いとか面白くないとか言ってもしょうがないという問題提起は、正直、同意。「AKB48は存在としては面白いけど音楽的には面白くないよね〜」なんていうことを言う人は今でもやっぱりいるし、そういう言説へのカウンターとしては機能してるとは思う。ただし、その上で「従来の音楽批評の手法」というのが、そんな薄っぺらいなものだと思われちゃ困るよ!というのが、僕の立場。もしくは、もしそう思われているんだったら、そういう「音楽批評の手法」をアップデートしていかんといけないよね、というのが僕の問題意識。

レジーさんのブログとか、宇野維正さんのツイートにも、この発言への距離感が表明されていた。

僕が思うのは「アイドルやV系バンドの楽曲だけを単体で批評」することは決して「ほとんど意味はない」ことではないよなと。少なくとも「音楽が好き」な人にとっては。「これいい曲だなー→これ誰が作ってるんだろう→歴史的に見てどういう流れの中にあるんだろう」って話は「総合的な体験」とは関係なくできるんじゃないかなと思いました。


アイドルと自意識、アイドルの自意識9 - アイドルにとって「楽曲」とは何か? SKE48とSMAPとソウルミュージック
http://regista13.blog.fc2.com/blog-entry-61.html





僕の立場としては、「音楽そのものに関心がある」人間として、ここで語れることは沢山あるよな、という。たとえば『AKB48白熱論争』や『前田敦子はキリストを超えた』を読んでも、そういうことを思ったりする。

本自体は、すごく面白いのよ。でも、AKB48はアイドルであり、CDを売っていてライブをやっている、つまり(たとえば女優やグラビアアイドルやアニメキャラと比較しても)間違いなく「音楽」が「キャラクターを消費する総合的な体験」の核にあるカルチャーなのに、そのことが本を読んでもちゃんと語られていない気がするのだよね。

上記の二冊においては、宇野常寛さん、濱野智史さん、中森明夫さん、小林よしのりさん、4人のAKB48についての論は、基本的に「システム」と「人間」についての語りが中心になっている。あれを読んでいると、鳴っている”音”自体には関心ないのかなーって思わされたりする。

もちろん、宇野常寛さんの主著である『リトル・ピープルの時代』の中にはAKB48の歌詞分析が描かれていて、そこではかなり踏み込まれた論考が行われている。システム分析をスタート地点に歌詞の中身に迫っていく、というやり方。特にブレイクのきっかけになった”大声ダイヤモンド”以前と以降における「一人称視点の変化」がターニングポイントになったという話は、なるほどなあと思わされた。

宇野常寛さんは、『日本文化の論点』で「楽曲を批評する」ということについて、

アイドルを応援する(消費する)という総合的な体験を論じるという視点がないと意味がない



と言っている。

僕自身、そこは同意で。そういう問題意識の上で面白い視点や批評軸を探すことも「音楽批評」の役割の一つだと思っている。『PLANETS SPECIAL 2011「夏休みの終わりに」』で「音楽批評は何を語るべきか」という座談会(「文化時評アーカイブス 2011-2012」にも再録)に参加したときに語り合ったことが、まさにそのことだった。で、その上で、宇野常寛さんは「物語論」が主戦場の人なので、だからこそ僕に語れることは沢山あると思うのだ。

僕は「鳴ってる音」をスタート地点に分析してAKB48の楽曲がどう機能しているのかを語るのも面白いし、そういうのも「音楽批評の手法」だと思ってる。

「文化時評アーカイブス 2012-2013」の音楽座談会では、僕なりにそういうアプローチに臨んだ話をしています。


ダ・ヴィンチ×PLANETS 文化時評アーカイブス 2012-2013 (ダ・ヴィンチブックス)ダ・ヴィンチ×PLANETS 文化時評アーカイブス 2012-2013 (ダ・ヴィンチブックス)
(2013/03/15)
宇野常寛、青山裕企 他

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で、そういうことについて語っているのが、たとえばレジーさんのブログであり、たとえば円堂都司昭さんの著作『ソーシャル化する音楽 「聴取」から「遊び」へ』であると思う。

ソーシャル化する音楽 「聴取」から「遊び」へソーシャル化する音楽 「聴取」から「遊び」へ
(2013/02/25)
円堂都司昭

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特に『ソーシャル化する音楽 「聴取」から「遊び」へ』は、いろいろと僕が考えていた問題意識と深くリンクするところがあり、すごく刺激を受けています。


というわけで、この話はまだまだ続く。


ロンブー田村淳がニコ動に見出した「面白さ」

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田村淳がテレビに見切りをつけた理由



今のテレビを捨ててニコ動だけに絞ってやってみようと思った。それでホントに言ったんですよ、吉本興業に。俺、テレビを捨てて年棒制でニコ動専属タレントになるの無理かな?って」



これは、先日発売された別冊カドカワの「ニコニコ動画」特集号に掲載された川上量生氏(ドワンゴ代表取締役会長)との対談の冒頭にある、ロンドンブーツ1号2号・田村淳の発言。僕はこの記事の取材と原稿を担当したのでもちろん現場にも居合わせたのだけど、スタートから数分で、いわばテレビ界に見切りをつけるようなこの発言が飛び出したときには、本当にビックリした。

で、そこについて、いろいろと考えてみたのが今回の記事。


別冊カドカワ 総力特集 ニコニコ動画  62484-77 (62484−77)別冊カドカワ 総力特集 ニコニコ動画
(2013/01/31)


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もちろん、川上量生氏は株式会社ドワンゴの代表取締役会長で、ニコニコ動画の生みの親の一人でもある。そういう人が相手の対談ということで、いわばサービストークだった可能性もある。それに、その後に「今はまだ自分がテレビでやり残したこともあるし、ニコ動で得たものをテレビにフィードバックしたいと思ってる」とも語っている。

それでも、テレビというフィールド、芸人の世界ではトップの一角を占める人が、さらりとこんなことを言えるんだというのは、やはり驚きだった。

■「テレビと同じような事をするよりも、芸人がやりたいことを」




2010年からツイキャスでネット生配信を開始、USTREAMも活用し、プライベートで「淳の休日」という番組を作ってきた田村淳。


「淳の休日」 http://www.atsukyu.com/

でも、ニコニコ動画のカルチャーに触れたのは、去年の「ニコニコ超会議」のイベント司会として招かれたのが最初だったという。

まず、超パーティの司会をやってくれって言われて。『ニコ動のこと全くわかんないけど、いいですか?』って言ったら、理解してない人が伝えるのがいいと言われて。だから勉強も何もしないで行ったんです。で、本当にすごいと思ったんですよ。テレビにはないものがあった。もちろん特殊な人が集まってるけど、テレビよりもクオリティーがはるかに高い歌い手さんや踊り手さんやモノマネの人がいて、それを理解している空気があった。昔、みんながこぞってテレビを見ていた時のような熱気がニコニコ超会議の会場・幕張にあった。



で、昨年10月には「ニコニコ生放送」にも“生主”としてデビュー。最初はニコ生ならではの機能や用語に戸惑いながらのテスト放送が行われ、その後も、コミュニティ上で「淳の晩酌」と題した番組が不定期的に配信されている。

淳のコミュニティ
http://com.nicovideo.jp/community/co1820467

(※当初リンク先が間違っていたので修正しました)

所属事務所である吉本興業は、ニコニコ動画上に公式チャンネル「よしよし動画」http://ch.nicovideo.jp/ch71)を展開している。そのチャンネル上ではなく、あくまで一人の「ユーザー生配信」としてスタートしたのも、一つの意志のあらわれだった。

吉本が公式チャンネルをやってるんですけど、それを観て面白くねぇ!と思ったんですよ(笑)。テレビとは違うことをしないと意味ないワケで。”ニコニコという素敵なメディアを使うなら、テレビとは違った新しいことをしなきゃダメじゃない?”って吉本のスタッフと話したんですよね。テレビと同じような事をするよりも、芸人がやりたいことを直接配信させたほうがいい。たとえ”公式チャンネルのほうがお金を貰えるよ”って言われても、公式はやりたくないんです。お金の問題じゃなくて、新しいことにチャレンジできる場所がニコニコ動画にあるから、自分の責任でそれをやりたい。だから、ちゃんと自分で525円払って、1人で生放送をやったんですよね。



「淳の休日」にしてもそうだし、“生主”を始めた経緯にしてもそうだけど、この人は仕事がどうとかではなく、「新しくて面白いこと」を本気で全力でやりたい人なんだろうな、と思う。

そして、今のテレビというフィールドは、誰が悪いとかそういうことでもなく、「新しくて面白いこと」が何故か許されない場所になってしまっているのだろう。

別のインタビューでも、こんな風に語っている。

僕がお金をもらったら「休日」とは言えなくなるし、僕自身はこの先も「淳の休日」ではギャラをもらうつもりはありません。ただ、スタッフさんとか機材の予算を補填してくれるスポンサーは徐々に増えてきました。休みの日に僕の頭の中にある企画を全部やらせてもらってるから、ありがたいと思っています。

テレビでは「とりあえずやってみよう」は不可能なんですよね……。絶対に、失敗が許されない場ですから。

ツイナビインタビュー Vol.16 田村淳
http://twinavi.jp/interview/atsushitamura/

「これやっちゃだめなんじゃないか?」「ここまでやったらやり過ぎなんじゃないか?」って自主規制をかける感覚がものすごく嫌で。それとっぱらうにはどうしたらいいんだろうなぁと考えているうちに、“失敗できる場所”があったらいいんじゃないかというところに思い至ったんです。

ロンブー淳さんが休日にゆるーくやってるネット番組について本人インタビュー
http://getnews.jp/archives/79341

■“炎上”が生まれる理由



とはいえ、いくつかのネットニュースで報じられている通り、田村淳のニコニコ生放送はたびたびの炎上騒ぎを巻き起こしている。今年のはじめにも、こんな話があった。

「クソの集まりだ」「全面戦争やってやるわ!」……ロンブー淳、ニコ生ユーザーにブチ切れ! (RBB TODAY) - Yahoo!ニュース
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20130111-00000014-rbb-ent


川上会長は、ニコ生に頻出する“荒らし”や“炎上”について、こんな風に語っている。

川上「荒らすのは一部の人なんですよ。たとえば、ニコ動の中にも、超会議を潰そうってユーザーがいるんです。それはどういう人かというと、元々のネット住民…古くからのネットユーザーなんです。そういう人たちは、現実社会に居場所がなくてネットの中に自分たちの楽園を作ったような人たち。そこにリア充が押し寄せてきて自分たちの楽園を奪われたような気がして怒ってるんですよね」
淳「なるほど! だから俺、『帰れ、帰れ!』って言われるんだ(笑)」


川上「いわゆる荒らし的な人って、昔からネットにいるんだけど、そういう人って目立つ所に現れるんです。2ちゃんねるだって、罵詈雑言が激しいところが目立つけど、ほとんどの場所は社交的で温かい場所なんです。ニコ動もそうで、基本は温かいコミュニケーションがされている場所なんですよ。でも、荒らしをやりたい人は、目立ちたいから、その時に最も旬な場所に行く。で、今回はターゲットになりやすい淳さんが登場したことでそこに荒らしが集まる。つまり、逆に言うと、淳さんの存在のおかげで、ニコニコのほかの場所が綺麗になってるんですよ」
淳「ははは! なるほど。俺がキレることが、荒らしの人のやりがいになってるわけですね。『ニュースになったぜ!』って(笑)」



罵詈雑言を言いたい人は目立ちたいから、その時にもっとも旬な場所に行く――というのは、僕もなるほどと思った。そして、その構造にさらに拍車をかけているのが、ネットニュースやまとめサイトの存在。「田村淳 ニコ生」で検索をかけてみるとわかるけれど、ヒットするのは、ほとんど炎上騒ぎを起こした時のニュースや、それに対しての反応をまとめたものばかり。

ただ、そのことに眉をひそめてもしょうがない、とは思う。これはもう、人々の根本的な欲求がそうなってるのだから仕方がない、ということなんだろう。昔っから「火事と喧嘩は江戸の華」なんて言うわけだし。ネット上の炎上騒ぎは、いわば“火事”と“喧嘩”が一遍に起こってるようなものだから、そりゃもう“江戸の華”だろう、と僕は思う。

■面白い人にお金をちゃんと払うという文化



で、僕が興味深いと思ったのは、田村淳のニコニコ生放送での炎上のきっかけを探っていくと、バンドのPVを流したりDVDの宣伝ととられるような行動だったということ。それに対して「宣伝をするな」とか「儲けようとするな」というコメントが多発したのが、炎上の発端になっているということだった。

つまり、“嫌儲”の気分はまだ健在、ということだ。その言葉で表現される、ネットを使って他の人が収入を得ることを憎むような気持ちを持った人が、(たとえそれが芸能人や有名人であっても)今も沢山いるということなんだろう。

僕は、正直これが不思議でならない。だって、いろんな人がネットで「面白いこと」を発信して食っていける未来は、それはそれは素晴らしいものだと思うから。川上会長もこんな風に言っている。

僕は、ニコ動をみんながお金を儲けられる場所にしようとしているんです。5年間かけてだんだんそうなってきましたね」


僕は、面白い人にお金をちゃんと払う文化を作りたいんです。少しでもいいからお金払う習慣をつけてもらわないと。そうしないと疲弊しちゃって、面白い人がずっと面白いことをやらなくなるんですよね」



その言葉だけでなく、ドワンゴは人気動画を投稿したユーザーなどに奨励金を支払う「クリエイター推奨プログラム」という施策を2011年12月に開始している。実際に、その理想を形にし始めている。先日もこんなニュースがあった。

niconicoがクリエイター奨励制度を拡充、収入1000万円超える人も -INTERNET Watch
http://internet.watch.impress.co.jp/docs/news/20130220_588460.html

川上会長がニコニコで目指すものの一つは、“文化の生まれる場所”を作ることだという。

「ニコニコだけで生活できる表現者の人をもっと増やす。そうすると、安定して文化が生まれる場所になる。それが今の僕の目標なんです」



実はずっと前に吉本興業の取締役にインタビューしたときにも、自前の劇場を持っていることがとても大きいという話を聞いたことがある。そこだけで芸人が「食っていける」ということが、大きいと。カルチャーが続いていくために、「場所を作る」という発想は本当に大事なことなのだ。

■「面白さ」はどういう場所に生まれるのか



そう考えると、今のテレビって、“文化の生まれる場所”になっているんだろうか? というのは外側から見てて疑問に感じるところでもある。先日もこんな記事が話題を集めていた。

2・20【テレビがつまらなくなった理由】氏家夏彦
http://ayablog.jp/archives/21656


TBSメディア総合研究所の代表をつとめ、テレビ業界のまさに「中の人」である氏家夏彦氏は、こんな風に言う。

久しぶりに会った現場の後輩に最近の現場の雰囲気について聞いたらこんな答えが返ってきた。
「いろいろ制約が多くて大変ですよ。番組作りに集中したいけど、やってはいけない決めごとが多くて、コンプライアンスとかに細心の注意を払っているだけで、疲れ果ててます。」



実は、川上会長と田村淳の対談でも、まったく同じことに触れている。

川上「(ガイドラインは)明確にすべきじゃないと思いますね。そうすると厳しくなる方向にしかいかないですから」
淳「そうなんです。テレビが衰退した一番の原因がそれですよね」
川上「ルールを作るのは反対ですね。昨日もマナーとかルールのガイドラインを作ろうとした社員を説教したんです。それはやっちゃダメです」
淳「心強いなあ! そういうことをトップの人が言い切れるのが、テレビにないニコ動の魅力なんだと思います。それは間違いない」



コンプライアンスが「面白さ」を殺す。


すでに沢山の人が同じことを言っていると思うけれど、それが一つの真実なのだろうと思う。たぶん、ネットのせいでテレビがつまらないとか、マスゴミだとか、いやいやニコ動も最近面白くなくなったとか、そういう話じゃないと思うのだ。物事はそんな表面的な話じゃない。

そして、「面白さ」を殺すのはコンプライアンスだけではない。最適化もそうだ。

「なんだかわからないけど、とびきり新しくて、面白いこと」をやりたいと思った人のヒラメキやアイディアがあって、それが形になったときに熱気が生まれる。でも、その成功法則がマニュアル化したときに、その熱気はだんだん醒めていく。「こうすればヒットする」という法則が生まれ、作り手がそこへの最適化を迫られるようになると、最初にあった「面白さ」はどんどん死んでいく。

面白さというのは、熱のようなものだ。


なんとなく、僕はそう考えている。放っておけば、エントロピーは増大していき、アイディアの濃度や光は拡散していく。エネルギーが失われる。マスメディアはそれを「わかりやすく」咀嚼する。その過程で、最初にあった面白いことは、だんだん味のしなくなったガムを噛み続けるようなことに変わっていく。

だからこそ、たとえ批判を集めたり問題を巻き起こしたりしてもいいから、「面白いことが生まれる場所」に身を投じていたいという本能的な感覚が、田村淳という人にあるのだと思う。以下のエピソードが、すごく印象的だった。

淳「(超パーティーで)すごく面白かったのが、ただムエタイの格好して暴れるだけの人に、すごく人気があって(笑)。歌うわけでも踊るわけでも、モノマネでもゲームの実況をするわけでもなくて。え? 君何する人なの?って。『なんでなの?』って聞いたら『僕もわかんないけど、やりたいことやってたら、みんなから求められるようになって』って言ってて」(中略)
――そういう人が食えるようになるのがニコニコの理想だと。
淳「そうなるといいですね。ムエタイの子、食えるようになってほしいもんなあ(笑)」


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