日々の音色とことば:

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アノニマスから「Google Army」へ

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■ハッカー集団と麻薬密売組織の仁義なき最終戦争、その決着の意味するもの



《匿名の人々が世界を動かす時代/ハッカー集団“アノニマス”の正体》
http://d.hatena.ne.jp/Rootport/20111114/1321267753

という記事を読んだ。

“国際的ハッカー集団”アノニマス(Anonymous)が“メキシコの麻薬組織”セタス(Los Zetas)にネット上で「宣戦布告」をし、誘拐された仲間の解放に成功したという事件。


もともとこの事件、なんだかハリウッド映画みたいな筋書きだなあと思って、気になっていた。ハッカー集団と麻薬密売組織の仁義なき最終戦争。まさに最新のクライム・サスペンス!ってな具合に。でも、リンク先の記事をじっくり読んだら、どうやらそんなことではなさそうだと感じた。この事件、違った切り口で見たら、もしかしたら世界史上の大きな転換ポイントとすら言えるんじゃないだろうか、という。

アノニマスを「ハッカー集団」という一つの統率された「組織」ではなく、匿名の人々による「現象」だと捉えると、いろいろなことに気づく。アノニマスの由来については以下の記事が詳しい。

《Anonymousは「ハッカー集団」なのか?》
http://d.hatena.ne.jp/ukky3/20110908/1315536752

上記の記事によると、そもそもアノニマスのルーツは「4chan.org」というサイト。つまりアメリカ版「2ちゃんねる」だ。

そして、アノニマスはアメリカだけの集団ではなく、日本人の構成員もいる。ブログやツイッターのアカウントもある。

私たちはアノニマスです。私たちの中には、弁護士、親、IT専門家、警察職員、大学生、獣医など、あらゆる 職業や年代の人々がいます。「アノニマス」とは日本語で「名無し」と言う意味です。私たちのメンバーは名前 も、顔も隠しているので、この名前を使っているのです。
「チャノロジー・アノニマスへようこそ」


http://anonymousjapan.blogspot.com/2011/10/blog-post.html


アノニマスの人々は、「名無し」のまま、ある特定のリーダーや統率者を抱かないまま、武力組織であるセタスに勝利を収めた。それは、一体どういうことを意味するのだろうか――。


■「Google Army」=「クラウドで暴力を共有する仕組み」


麻薬組織セタスは古いタイプの集団だ。見知った仲間同士で手を結ぶところからはじまり、武力――肉体的な暴力をチカラとして、富を蓄えることで結束を強めてきた。じつはこれと同じ構造を、現在のすべての国家が持っている。先史時代までさかのぼれば、凶悪な犯罪組織と正統な国家とを分かつものはない。歴史は勝者によって綴られてきた。
一方、アノニマスは今までにないタイプの集団だ。一つの信条を共有しているだけで、利害関係・お互いの素性・居住地域――あらゆるものを無視したまま、ゆるい結束を保っている。指揮系統はなく、人の出入りは激しい。そして、そもそも参加者の数がハンパなく多い。つまりアノニマスは“組織”でも“集団”でもなく、“現象”と呼んだほうがいいのである。似たような現象は日本でも珍しいものではない。見慣れた「祭り」や「炎上」に二つの要素――「信条」と、ハッキングという「実力行使」――が加われば、それはアノニマスの活動になる。


http://d.hatena.ne.jp/Rootport/20111114/1321267753



アノニマスと同じような「現象」は、いまや世界各国で立ち現れている。指揮系統がなく、お互いの素性も知らず、ただ同じ信条を共有する集団がネットやモバイルを基盤につながったということで起動する「匿名現象」。そして、別にハッキングの知識を持ってなくとも「銀行口座を解約する」ことすら実力行使になる。


……これって、「Google Army」のようなものなんじゃないだろうか?


「Google Army」という言葉が仮にあるとして、それが「グーグルが所有する軍隊」を意味すると思うのは誤解だと思う。イメージが違う。たとえば「Google Music」は「グーグルが所有する音楽」ではない(音楽を所有するのはあくまでユーザーだ)。「Google Document」でもそう。つまり「Google Music」が「人々がクラウドで音楽を共有する仕組み」であるのと同じく、「Google Army」とは「人々がクラウドで軍隊を共有する仕組み」、もしくは「暴力を共有する仕組み」ということを意味する。

今の時点のアノニマスを「Google Army」と言うのはもちろん乱暴だ。法的にはグレーからかなりブラック寄りだし、そもそも組織としてGoogleは(おそらく)まったく関与していない。しかし「Google Music」の喩えで言うならば、アノニマスというのは、ひょっとしたらクラウド音楽サービスの遙か前にアングラ的に始まった「P2Pによる音楽の共有」くらいのものなんじゃないだろうか……?

危険な思考実験であるというのは、わかってる。しかし、ここ数十年で、それこそ音楽から貨幣まで、様々なものが情報化されてきた。それでも、暴力だけは情報化できないと、殆どの人が思っていた。軍が最新鋭の兵器や諜報システムを導入するのとはまったく別の話で、暴力だけは生身の身体=ある特定の権力が占有し、クラウド的には決して存在できないと思っていた。

しかし「情報化された暴力」(=アノニマス)は「生身の暴力」(=メキシコ麻薬組織)に大勝利を収めた。


このことが意味することは、大きい。

ちなみに、「Google Army」というのは僕の思いつきの言葉でもなんでもなく、Google本社に設置されたホワイトボードの「Google MasterPlan」にしっかり記されている。

googlemasterplan


http://undergoogle.com/tools/GoogleMasterPlanEN.html

正確に言うと「Google MasterPlan」に記された言葉は「Army of darkness」。それと「Google Gov.」(=グーグル政府)という言葉が、双方向の矢印でつながっている。
※もちろん、上に書いたことの繰り返しになるけれど僕がここで使う「Google Gov.」という言葉は「グーグルによる世界支配」を意味しない。イメージが違う。むしろ「人々がクラウドで政府(=統治システム)を共有するための仕組み」のほうが近い。

先日、ある人が鋭いことを言っていた。「“資本主義の終焉”なんて騒いでいるのは現実が見えてない人たちばかりで、むしろ市場の力は増している」という話。ギリシャに端を発するユーロの失敗は通貨だけを統合した不完全な統治形態がもたらしたものだった。そして、市場はより巨大な国家を求めている、という。

ただ、その「より巨大な国家」というのは、佐藤優的な発想の「帝国の復活」ではないと、僕は思っている。それが「Google Gov.」なのでは?ということ。メキシコ麻薬組織はあきらかに暴力装置(=軍隊)の直喩であって、それは世界史的に見れば国家の基盤の象徴でもある。けれど、それはアノニマスが直喩する「偏在する匿名の集団の現象」=「クラウド的に共有される暴力」に敗北した。

ということは、いま徐々に導火線の火がついているのは“資本主義の終焉”なのではなく“国家の終焉”なのではないか?という……。

もちろん、これは与太話だけどね。


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